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たかくおよぐや

水宙遊泳〜淡水性巻貝のフローティング〜その1
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水中から水上へ
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鯉のぼりの歌には2つある。「屋根より高いこいのぼり…」と「甍の波と雲の波…」だが,私は断然後者のほうが好きで,とくに「たーかくおよぐや」の「たー」のところが天に突き抜けて明るい感じがして気持ちいい。なんだかわからんけど,胸を張ってきっぱりと歩いて行こうかという気にさせる。さすが文部省唱歌である。

で,その「たーかくおよぐや」の泳ぐという行動である。「泳ぐ」「遊泳」というキーワードで検索すると,重複を除いて18件の映像がでてくる。泳ぐというのは水中での行動だから,一番高いところで泳ぐとなると水面で泳ぐことになってしまうのだが,水面で泳いでる映像には,たとえば「水宙遊泳〜淡水性巻貝のフローティング〜その1」(データ番号: momo051013un01b)がある。この映像は淡水性の巻貝が水面に「ぶら下がって」移動している映像である。

水面に「ぶら下がる」というのは我々には意外というかちょと想像しにくいのだが,理屈からいえば表面張力を利用すればこれは可能である。コップに水を入れたときに水面を盛り上げているその力が表面張力なのだが,盛り上げていることからわかるように,この力は上向き方向の成分を持つ。だから水面に比重が水よりも大きい1円硬貨をそっと乗せると,その1円玉は沈まずに水面に乗っている(だから厳密に言えば1円玉は「浮いている」のではない)。上に乗っかれるということは下から引っ張っても大丈夫ということだ。というわけで水面に「ぶら下がる」ということが可能なのである。

つまり水面というのは,生き物をぶら下げられるくらい強く張られた膜であるということなのだが,このことはまた,水面は水中から空気中へ移動するときの強い障害であることを意味している。「水中から水上へ」(データ番号: momo051005ae04b)は,水中で孵化したアメンボが水面を破ろうとして一生懸命な様子を映している(水面に乗る1円玉も映っている)。アメンボをその生活の場である水面に乗せている力が表面張力なのだが,その力が孵化時に邪魔になることもあるというのは興味深い。その力に勝たないとその力を利用できないのだ。困難を打ち破ったアメンボには未来が待っている。

そういえば鯉は龍門の急流を登りきれば龍になるという。まあ龍になってどういういいことがあるのかはわからんけど,そういう鯉にあやかって鯉のぼりを立てて子どもの健やかな成長を願うというのは,それはそれでいい風習ではないだろうか。別に龍になれとはいわんが,青空の下で胸を張ってきっぱりと歩いて行ってほしいものである。
森貴久(帝京科学大学)
2006-05-05

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