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思いを確かめたくて

テイルアップ姿勢の機能:野外ダミー実験
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ハクガンの卵認識:模造卵による実験
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行動を観察するための実験は、動物との心の交流だと思っている。実験をすることで、チョウチョが肩にとまったりすること以上に、動物と対話ができると思う。実験者は、「こんなことしたら彼らはどんな反応をするだろうか」とか「私の仮説が正しければ、こういう反応をするはずだ」とか「こんなオモロイ実験、他の人は絶対思いつかへん」とか考えながら、いそいそと実験装置をセットするのである。

2006年5月現在、本データベースで「実験」を検索をすると7件の映像がヒットする。そのうち5件はすでに他のコラムで紹介されている。ここではまだ紹介されていない2つの実験を、おもしろおかしく見てみよう。

ひとつは「テイルアップ姿勢の機能:野外ダミー実験」(データ番号: momo011001cl01b)だ。テイルアップ姿勢とは、縄張り内に入ってきた同種の個体が、敵か味方かを調べるための「あいさつ」の姿勢である。では、テイルアップをしている模型に対して、チョウチョウウオはどのように対応するのだろうか。映像のペアは、同じようにテイルアップ姿勢をして「あいさつ」する。願わくば退散して欲しいと思っているのだろう。しかし模型は逃げようとしない。そのくせ頭を下げて「あいさつ」をしている。一旦距離をとったペアは「困ったわ、アナタ」「退散するのが礼儀ってものだが、話の分からんヤツだ」なんてコソコソ話しているかのようだ。で、もういちど「あいさつ」しに行ったり、さらに行こうとしてやめたり・・・。このとき、ペアの心が一つになっているなぁ、と感じられる。やはり外部に敵がいると、内部の結束は高まるのか、と世知辛い人間社会に思いをはせたりもする。とにかく、ここまで模型に対して礼を尽くしてくれると、自然状態より多くのテイルアップ姿勢を観察することができ、その行動の意味を調べることができる。

もうひとつは「ハクガンの卵認識:模造卵による実験」(データ番号: momo060129ac01b)だ。巣からこぼれた卵をもとに戻すという、見れば誰でも目頭が熱くなる光景である。きっと「可愛い我が子(卵だけど)」と思って引き寄せているんだろうなぁ、と誰でも思う。そこで実験をしてみる。いろんなタマゴを巣の周りに置いてみよう。本物より小さいタマゴでも、巣に戻す。ちょっと大きいタマゴも、戻す。かなりデカいタマゴも、戻す!四角くても、え、戻しちゃうの?最後のは、真っ赤なんですけど、あらー、それも戻しちゃいますか!・・・母の愛は予想をはるかに上回っていたようだ。でもコメントに書いてある「しかし、本物よりも小さな卵だけは、腹の下まで入れようとしなかった。」という一文が、かなり厳しい現実に引き戻してくれる。

実験では動物を「だます」場合も多いけれど、ちょっとだけ人間の好奇心につきあってください。悪気があるわけではなくて、何を考えているのか確かめたいだけなんです。
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2006-05-19

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