私事だが,この春から新潟県十日町市松之山にある里山科学館「森の学校」キョロロで研究員をすることになった.松之山は,棚田やブナ林といった美しい里山の風景が広がる自然豊かな町である.キョロロはその里山のど真ん中に建てられた小さな科学館で,周りは研究対象に囲まれており,研究者にとって夢のような場所と言えるだろう(中に入ってみるとそうも言っていられない部分もあるのだが).
さて,私は出身が宮崎で,大学は京都だったので,新潟にくると植生は違うし動物相も馴染みのない生き物が多い.その中でも「何だこれ?」と思ったのが,4月〜5月にため池の水中にある10cm弱の白い物体.ため池だけじゃなくて,道路わきの集水ますにもある.ゼラチン質で,さわってみるとプルプルして気持ちがいい.地元の人はイモリの卵だという.でも本当のイモリの卵は1つずつ水草の卵で包まれていて,こんなのじゃないのよね.これ,実はクロサンショウウオの卵嚢なんだそうな.卵嚢の中には数十個の卵が入っている.
MOMOにはそのクロサンショウウオの配偶行動が登録されている(
「クロサンショウウオの配偶行動」(データ番号: momo030617hn01b)).メスが産卵を始めると,池の中で待機していたオスがわらわらとやってきて,卵嚢に抱きつき受精させる.これだけの数が集まると壮観だ.残念ながら今年はこの光景を見逃してしまったので,来年はぜひ見てみたい.
サンショウウオに関してにわかには信じられなかった話を一つ.昨日,地域の方から電話があって,「蛇口からサンショウウオが出てきたのだがいらないか?いつもはそのまま流しているが今日は3匹も出てきた.」というのである.「蛇口からサンショウウオ??」と頭の中に疑問符がいっぱいだったのだが,とにかく流してしまうのはかわいそうだと思って,キョロロで貰い受けて飼育することにした.受け取りに行ってみると,確かにハコネサンショウウオの幼体が3匹.話を伺ってみると,水道は沢の水を引いているのだという.それなら流水性のハコネサンショウウオが流れてくるという話も納得できる.
もう一つ,一昨日に小学校の先生から聞いたミステリアスな話を紹介したい.もし,この「謎」がわかる方はぜひ教えてほしい.さて,イタドリという植物がある.春に出てきたタケノコのような状態の芽は,食用になる.その先生は食べようと思ってイタドリをポキッと折ったところ,茎からヘビが出てきたという.確かにイタドリの茎は中空になっていてヘビが入る空間はある.しかし中に入る穴はない.はて,そのヘビは一体どこから入ったのやら.ひょっとしてかぐや姫の生まれ変わり?
このように,松之山には面白いもの,不思議なものがたくさんあるようだ.その中にはMOMOに登録するネタもありそうなので,これからいろいろ撮影してみたいと思っている.
西 浩孝(十日町市立「森の学校」キョロロ)
2007-05-25