日本の教師は総合職型で、学校にまつわる多種多様な仕事をこなしています。例えば、一学年(数百人)で旅行する修学旅行の下見・現地との調整を、契約した旅行業者と同伴で実施するのです、まるで旅行業者見習いです。以前、大阪府立大冠高校に在勤中、沖縄方面への修学旅行を担当しました。飛行機の使用が解禁になって、沖縄を目指したのです。
瀬底島で潜っていた時代のつてを頼り、渡嘉敷島の「国立沖縄青年の家」なら大きな団体でも受け入れてもらえるとの情報を得ました。山上のかつてのホーク(対空ミサイル)基地跡にある宿舎と、渡嘉志久湾に面したキャンプ場があります。そこで宿舎での宿泊+島の人々の協力を得ての平和学習(集団自決のあった島です)、キャンプ場での自炊キャンプ生活+トカシク湾での海洋実習を企画しました。
テントの中で這い出してきたセミが羽化したり、ネズミがやって来たりと千客万来のキャンプでしたが、幸い、ハブは来ませんでした。終わってから家族に、「生徒がとっても喜んだ、とても良い島だった」と話すと、自分たちも連れて行けとの要請がきました。近所のホームセンターで子供二人のスノーケリングセットを買って(大人二人分はすでにあった)、当時あった半額の深夜飛行で沖縄に向かいました。そんなこんなで、娘二人を伴って一家四人でのスノーケリンングが始まりました。
毒入りカレー事件のあった年の夏には、串本へ自動車で向かいました。こちらは豊富なサンゴを見せるつもりだったのですが、娘たちが興味を示したのは、小川の底を歩く黒いイモリでした。取ってくれ!と言うので、手で造作なく捕まえて・・アカハライモリでした
「アカハライモリの脱皮」(データ番号: momo080519cp01b)。「これ、毒があんねんで」、といったのですが、とても気に入って大阪の自宅に5匹を持ち帰ることになりました。
幸いに妻がナチュラリスト(農家の娘ともいう)でしたので、イモリが活きえさしか食べないことをすぐ見抜き、近所の田んぼで、オタマジャクシを取ってこいと娘たちに指示を出しました。親のいうことをあまり聞かない娘でも、こういう指示にはとても忠実で、迅速にオタマジャクシを調達して、イモリに与えました。オタマジャクシが、タマだけになって泳いでいる様子を見て、妻はぞっとしたと申しております。
その娘たち、今年は長女が成人式で12日には晴着でおでかけ、次女は17日・18日にセンター試験受験です。今でも仲が良いとはとても言えない姉妹ですが、二人で仲良くイモリを一匹ずつ洗面所で水洗いしてやっていたそうです(二週間前に聞きました)。あのぬるぬるは汚れであると、思っていたそうです。フロアを散歩させているうちに、一匹が迷子になってしまい、数日後に洗濯機の下から埃まみれででてきたこともあったようです。
妻の実家に帰るときもイモリ同伴でした。これ、ブローチ!といってイモリを胸につける、頭に乗せるなどして娘たちが楽しんでいる様子を見て、義理の父は青くなっていたそうです、義理の父もアカハライモリに毒があることを知っていたので。成人式の晴着の柄はイモリぞろぞろがきっとお似合いなのでしょう。次女が大学に上がると、この核家族も解体に向かうはずです。イモリと過ごした子育ての日々が終わりに近づいてます。
広瀬祐司(大阪府立茨木高等学校)
2009-01-09