高校生物の授業では、「体液と恒常性」の項目で脊椎動物と環形動物は閉鎖血管系をもっていること。軟体動物と節足動物は開放血管系をもっていることを学びます。ヒトの血管系が本当に閉鎖血管系であるのかと疑問に思えば、5月22日まで京都文化博物館で公開されている「人体の不思議展」に行けば、全身の血管をプラスチネーション処理した標本を目の当たりにすることができます。肝臓も腎臓も、ほとんど血管でできているようなものですね。
ところで環形動物はと言えば、副読本として生徒に購入してもらっている「生物資料集」には、ミミズの血管系が図示されているのが普通です。しかし、これだけではどこか収まらない、何かが足りない!こんな思いを、生徒だった頃からな、30年近く持ち続けていたのです。そして、
「ウミケムシ科の一種Hipponoa gaudichaudiの尾部」(データ番号: momo050215hg02b)と出会った。解説に、「環形動物の主要な血管には背血管と腹血管があり、背血管では尾部から頭部に向けて、腹血管では頭部から尾部に向けて血液が運ばれており、この動画では背血管の脈動する様子を見ることができます」とある。「ああ」これですっかり納得できました。
動画で血液が血管中を循環していることを目にすることは、単に「閉鎖血管系をもつこと」を知る以上の体感的経験をもたらしてくれるようです。開放血管系での血液循環の様子は、
「ホウキムシの頭部」(データ番号: momo050312ps03b)を視るといいのかも知れません。「ホウキムシ動物は腕足動物と近縁で、開放血管系を持つ・・・」と手元にある白山義久編(2000)、無脊椎動物の多様性と系統、裳華房、にはあります。解説は「血球と思われる球状の構造が指状の触手の内部にも出入りしている様子が観察できます」とあります。
登録された動画をうまく編集してゆけば、教科書のこの項目に関しては、コレを視ろ!というように「動物行動の映像データベース」を活用した、「動画で学ぶ生物学」なんていうコンテンツが実際に構築できそうに思えます。さしあたり今回のは、開放血管系と閉鎖血管系というタイトルになりそうですね。
広瀬祐司(大阪府立茨木高校)
2005-05-20