ビーリヤとチンパンジーとヒトが,廻って遊ぶ動物達だとしたら(前回のコラム参照),他の霊長類はどうなのだろう。
そこでニホンザルの子供がくるくる廻って遊ぶかどうか,I先生に聞いてみた。この分野のパイオニアであるI先生は,間違いなく世界で最も長く,かつ深くニホンザルを見て来たヒトの一人であるのだが,答えは,「廻らん。むしろ,跳ぶ。」とのこと。くるくる,ではなく,ピョンピョン。
なるほど,検索してみるとMOMOには,ニホンザルの遊びに関する映像が9件登録されているが(2007年12月6日現在),その中には,廻っている映像はない。代わりに「馬跳び」と題された映像が2件ある(
「ニホンザルの馬跳び遊び」(データ番号: momo050423mf01b),
「ニホンザルの馬飛び遊び」(データ番号: momo050331mf04b))。どちらも地獄谷のサル達である。京都嵐山での遊びでも(
「ニホンザルの集団遊び2」(データ番号: momo010930mf01b)),彼らはピョンピョンよく跳んでいる。
I先生と,ニホンザルが廻らないのは,廻るための「ステップ」を踏むのが苦手だからじゃないかという話になった。それは,彼らの足が短いからなのかもしれないし,あるいは,そういう運動そのものが苦手なのかもしれない。
この廻るために「ステップ」を踏む能力,もしかしたら二足歩行の能力と関連していたりしないだろうか。ヒトはもちろん,ビーリヤもかなり上手に,チンパンジーもそこそこ上手に二足歩行するのである(
「二足歩行」(データ番号: momo050113pt02b))。
二足歩行では,片方の足だけが地面についている瞬間が必ずある。この時,一本の足に重心をのせてバランスをとる必要がある。つまり,一瞬だが片足立ちをせねばならないのである。この能力があるから,私達はピルエットができるのではないだろうか。
前回は,ビーリヤやチンプ達は廻る時に手を地面につけている,ということを強調した。しかし,もう一度よく見てみると,ビーリヤも一瞬だが,手を地面から放して,片足だけで立っているのである(
「ピルエット〈旋回〉」(データ番号: momo071114pp02b))。チンパンジーの場合は少しわかりにくいし微妙だが(枯れ葉が邪魔),2,3度片足だけになっているように見える(
「コマ旋回」(データ番号: momo060406pt02a))。
ビーリヤとチンプとヒト,我々が廻って遊べるのは,もしかしたら我々が二足歩行できる動物だからなのか? だとすると,ちょっと面白い。
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2007-12-06