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はみだし行動学

ティンバーゲンの実験 - イトヨの闘争行動を解発する鍵刺激
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ウミネコのヒナのくちばしつつき行動:模型を使った実験4(くちばしのみ)
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ハクガンの卵認識:模造卵による実験
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動物行動学の父はローレンツとティンバーゲンであることは,まあ異論がない。となると行動学の伯父はヤン・ティンバーゲンか。みんなノーベル賞だ(ヤンのは正確には違うが)。祖父はアドルフ・ローレンツで,これもノーベル賞候補になっているらしい。アドルフは「整形外科の父」らしいので,となると動物行動学は整形外科の孫だ。いや子か。

私が動物行動学に接したのはいつのことだろう。高校の生物の時間には,その手のあんまりおもしろい話はなかったような気がする。日高さんが動物文学者の戸川幸夫と対談した「本能のジュークボックス」(朝日出版社)の出版が1979年で,それを読んでおもしろかった記憶があるから,高校時代に読んだんだろな。大学院時代に日高さんにこの本のことをいったら,「あんなのですまないねえ」といってけど,おもしろかった。そのときだろうな,生得的解発機構とかリリーサーのことを知ったのは。「生得的解発機構」ってのはやたらカッコいいことばで大好きなのだが,いまはほとんど使われてない。「超正常刺激」とかも好きなことばだけど,使わないなあ。残念。

「リリーサー」とか「超正常刺激」というのは,つまりは「ティンバーゲンの実験 - イトヨの闘争行動を解発する鍵刺激」(データ番号: momo050707ga01b)「ウミネコのヒナのくちばしつつき行動:模型を使った実験4(くちばしのみ)」(データ番号: momo070616lc04b)「ハクガンの卵認識:模造卵による実験」(データ番号: momo060129ac01b)でみられるようなものである。

リリーサーの話は初めて知ったとき,びっくりした。何だそれはとおもって,感動すらしたのだが,なんでそんなに感銘を受けたんだろう。多感な高校生だったからかな。そういえば,余弦定理と正弦定理が三角形の合同条件と同値だというのも感動したし,小松左京の「復活の日」を読んで,バクテリオファージってすげえと感動したから,そういう時期だったのかもしれない。世の中はそういうふうにできていて,動物はそういうふうに世界をみていて,それであちこちで辻褄が合っているところがよかったのだろうな。

大学に入学して,日高さんが教養部で担当した(ほとんどは今福さんが来てたけど)ゼミで「行動生態学を学ぶ人に」を読んで,これまたびっくりした(考えてみればこれを書いたクレブスの父もノーベル賞だ)。でも,そのとき使った本をいまみてみると,最適採餌理論の章のところに,「関数が連続だからといって行動が連続であるとはおもえない」とか書き込んであって,いやあ若かったなあと恥ずかしい。まさか最適採餌理論で職を得ることになるとはおもわなかったからね。いやまあいまでもどっかでそうおもってるところはあるけど。

動物行動のおもしろさというのは何なんだろな。行動生態学的な話はもちろんおもしろいのだけど,リリーサーとか生得的解発機構を初めて知ったときのおもしろさのほうが大きかったような気がするが,気のせいかな。でも,やたらおもしろくて,ニワトリのリリーサーとかいいながら,赤いハタキを頭に載せて,庭で飼っていた烏骨鶏を追いかけたしなあ。何も起きなかったけど。あのときのおもしろさが今の原点なんだろなたぶん。あれから随分経って,いろいろあっていまに至るわけだが,MOMOの映像を観るとときどきそういう頃をおもいだす。

私の最初のコラムは2004年11月12日付だから,私の場合は5年に1週間ほど足りない。その間,映像をみておもったことをつらつら書いていたが,そういう意味では「視る・想う」というのはいいタイトルなんだな。いまそうおもった。また,動物の行動というのは,いろいろなことを連想させて,着想させる不思議な力がある。徒然なるままにときたまMOMOにむかひて,こころにうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付けたコラムで行動学の庭の楽しさが伝われば,それに勝る幸せはありません,なんてことはなくてそれに勝る幸せはまあたくさんあるけど,それでも幸せのひとつであることには違いない。
森貴久(帝京科学大学)
2009-11-06

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