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声はすれども

ニホンアマガエルの鳴き方
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♀をめぐって闘争するコオロギの♂同士
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この時期,夜にはカエルの大合唱が水田から聞こえ,もう少しすると,鳴く虫たちの天下である.ここ京都だと,昼間はアブラゼミやクマゼミが照りつける太陽にも負けじと声を張り上げるので,ますます暑苦しい気分になるが,夕方になると山の方からヒグラシの涼やかな声が聞こえてくる.しかし,街灯で生活リズムが狂わされるのか,夜中にもアブラゼミが鳴いていたりする.

そして,秋になるとコオロギやカネタタキなどのバッタの仲間が夜長を鳴き通す.大学の周辺ではアオマツムシが鳴いているが,「やかましい」と思ってしまうのは外来種に対する偏見のせいだろうか.

さて,鳴いているところを見ようと思ってもどこで鳴いているのかわからないという経験をしたことはないだろうか.同じ研究室の人の手伝いでシバスズという小さなコオロギの仲間を探したことがあるが,鳴き声はすれども一体どこにいるかわからなかった.また,ケラもどこで鳴いているのか場所を探し当てるのが難しい.これは捕食者に食べられないように場所がわかりにくいような周波数を使っているのではないかと考えたこともあったが,彼らは雌を呼ぶために鳴いているのであって,自分の居場所がわからないのでは目的が果たせないので,この考えはどうも外れているようだ.

でも中には捕食者にはわからないように声を発している生き物もいる.イルカは群れ内のコミュニケーションやエコーロケーションのために,100kHz以下の周波数帯の音声を使っている.しかしイルカの捕食者のシャチも100kHz以下の音声を種内のコミュニケーションに使っていて,当然その周波数帯の音を聞くことができるので,イルカはシャチに見つかってしまう.ところが,ラプラタカワイルカ科・ネズミイルカ科などでは,シャチの可聴域に含まれていない100kHz以上の音声だけを使っているという.一方でこのイルカは,100kHz以下の音まで聞くことができる.このように,彼らはシャチに声を聞かれないようにする一方で,シャチの音声を聞いて捕食を免れていると考えられている.捕食者に音声を聞かれないようにする戦略は,昆虫やカエルでも見られるそうである.

ところで,セミは昼間に鳴くが,カエルやコオロギなどは夕方から夜にかけて鳴く場合が多い.夜鳴く生き物の場合は,声はよく聞くけど鳴く姿を見たことがないという人も多いのではないだろうか.そこで本データベースの出番である.

アマカエルの鳴き声は水田から聞こえてくるものであって,直接鳴くところを見る機会は今までほとんどなかったが,「ニホンアマガエルの鳴き方」(データ番号: momo030903hj01b)を見ると鳴き方がよくわかる.のどを膨らませるのは知っていたが,のどと腹部を交互に膨らませるというのは初めて知った.

また,エンマコオロギの鳴き声は風情があるが,「♀をめぐって闘争するコオロギの♂同士」(データ番号: momo041210te01b)を見ると,実はこんなバトルが繰り広げられていたのだということがことがわかる(もっとも我々が耳にするのは,この映像にある闘争鳴きではなく,雌を呼ぶ鳴き方が多い).

まだまだ鳴く生き物の登録は少ないので,ぜひ撮影して登録して欲しい.
西 浩孝(京都大学大学院 理学研究科 動物学教室)
2005-06-24

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