自分がやりもしないスポーツについて、遅くまでテレビを見ては、やれメダルがどうしたこうしたと大騒ぎする趣味のない私でも、イナバウアーは知っている。
私が知っているくらいだから、世の大多数の人も知っているに違いないが、話を進めるために説明すると、イナバウアーとはフィギュアスケートの技の一つで、足を開いて片足を曲げ、両のつま先を反対の外側に向けたまま滑ることだそうだ。うっかりするとガニマタと呼ばれかねない。しかし、2006年2月の終わりから3月にかけての日本においては、イナバウアーとは頭が下を向くまで上半身を180度後ろに折り曲げる事である。リンボーダンスと呼んではならない。なんといっても日本をメダル0の危機から救った技である。いや、私にはどうでもいいことだが。
どうでもいいついでに、本当にどうでも良い話をするが、私はまったくもって体が硬い。どのくらい硬いかというと立位体前屈でマイナス10cmとかの値をたたき出したりするくらいだ。であるからして、私にとっていわゆるイナバウアーは試みる事さえ想像の埒外である。さらに素人がふざけてやると腰を痛める危険があるとか。腰痛持ちでもある私にはますます縁遠い。でもまあ、あんな風に体が柔らかいのはうらやましくないといえばウソだ。
で、だ。体が柔らかいときたら軟体動物の映像だと思ったでしょう?残念でした。今日の話の流れでひねりが入らないはずが無いではないですか。トリプルアクセルだ!いや、そうでなく
「産卵にじゃまな翅は畳んでしまう」(データ番号: momo050102am01b)である。ワタムシヤドリコバチという寄生バチが、産卵する時に翅を背中側にひょいと折り曲げるのである。本当は後ろを向くべき翅の先端が前を向くという。まるで蝶番でも入ってるんじゃないかという曲がりっぷりである。荒川さんもビックリ。
翅が邪魔なら畳んでしまえというのも、なかなかに大胆な行動だと思うが、人間にとって邪魔なものといえばキスをする時の鼻だと相場は決まっている。イングリッド・バーグマンがそう決めたのだ。とはいえ人間は鼻を畳んだりはしないのであって、顔の軸をお互いがわずかに傾けて衝突を回避するという解決策はエレガントで素敵である。
ということで他にも二つエレガントなものを。
「ヤクシマダカラの衝突回避行動」(データ番号: momo031011ca01b)と
「他個体を飛び越えるニホンザル」(データ番号: momo050331mf05b)。前者の優雅な回避の身のこなしの高い芸術性はアピール力抜群で、後者のポイントはもちろん馬跳びの高度な技量に与えられる技術点である。
ああ、書いているウチに段々なんだかわからなくなってきた。きっとこれはビールマンスピンのやり過ぎで目が回ってきたに違いない。。お後がよろしいようで。。
中田兼介(東京経済大)
2006-03-10