タイトルは京都の街のことではなく、文字通り「高いところに移動する」「低いところに移動する」のこと。学生や会社勤めの人は通学、通勤のため毎日水平方向には数キロから数十キロ移動していると思うけど、上下方向の移動は数十メートルからせいぜい数百メートル程度のはずだ。人間の行動範囲はすごく薄っぺらい立体の内部に収まるということだ。私の場合も、通勤距離は7キロぐらいあるが、上下の移動は勤め先のビルの高さ分100m程度だ(比率で言えば 70:1 )。
それに対して我が家のネコは、家が狭くて水平方向はせいぜい10mしか移動しないのに、ネコタワー(知らない人はネット通販で検索してね)があるため上下方向には2mぐらい移動する(比率は 5:1 )。ネコはもともと樹上で獲物を待ち伏せる形の狩りをするので、上下に移動できないとストレスがたまるのだと言う。
当然、ヒトよりもネコよりも上下に大きく移動する動物はいるはずだ。そこで、MOMO の画像で上がる/下がるの移動が記録されているものを拾ってみた。
たとえば
「木を登り下りするハクビシン」(データ番号: momo070707pl01b) さすがにネコの仲間だけあって木を登る登る。でもこの映像では登り下りの目的がよくわからない。逃げているのなら水平方向にも動いたほうがいいんじゃないか?
高くまで移動する動物の代表は鳥だろう。なかでもツルの仲間にはヒマラヤ山脈を越えて
渡りをする種もいるという。
「ツルの北帰行」(データ番号: momo060327fg01b) はそこまで高いわけじゃないけれど、みかけの大きさから考えて相当高く舞い上がっていると思われる。
逆に、下方へ大きく移動するのは、クジラ、アザラシ、ペンギンなど潜水の得意な動物たち。
「アデリーペンギンの同調潜水行動」(データ番号: momo030605pa01a) では潜水する場面と浮上してくる場面の両方が見られる。どこまで深く潜ったかはわからないが、浮上が90秒後となっているので結構深く潜れているかもしれない。アデリーペンギンは150m程度、エンペラーペンギンでは500m以上潜った記録もあるそうだ。MOMO にはマッコウクジラ、ゼニガタアザラシ、ゾウアザラシの映像も登録されているが、残念ながら潜水する映像はない。
なぜこんなことを思いついたかといえば、潜水艇「しんかい6500」を先日見学してきたから。日本海溝まで潜れる(最深部には行けないが)「しんかい6500」でも、6.5キロつまり2時間もあれば歩ける距離しか潜行できない。太平洋全体を考えると、幅は数千キロあるのにマリアナ海溝の底でも11キロ弱の深さしかない。太平洋の生物は、たとえどんなに深さへの適応能力が優れていたとしても、この極端に薄くて広い範囲でしか行動できないということだ。陸上の生物も、成層圏までの高さが10キロかそこらだから、行動できる範囲は海中生物と似たようなものだ。
何十億円も払って国際宇宙ステーションまで行こうとする大富豪のニュースを時々見かけるけれど、これは地球の生物の行動範囲の宿命を打ち破ろうとする企てなのかもしれない。
井上 真(MOMO 運営ボランティア)
2007-07-20