昨年、かぐやという月探査衛星が打ち上げられ、月の周回軌道に入った。そのかぐやが送ってきた、月の地平線から地球が登ってくるという映像を見た。ただ単純に、その美しさに目を見張ってしまった。わたしたちは日々新たに、実にさまざまな視点の映像を見ることができる。陳腐な言い回しかもしれないけど、これは全くもって、技術革新のおかげなのだと思う。
さて、映像撮影の技術革新で、動物行動学ではどんな視点の映像が実現するだろう。ちょっと考えてみた。ひとつめは、衛星から撮影する地表の映像。もし、解像度がさらに上がって、任意の場所と時間の動画が得られるようになったら、まだ渡りのルートが明らかでない鳥の飛行経路を追えるかもしれないし、ユキヒョウがヒマラヤの雪上で狩りをする姿が見られるかもしれない。ザトウクジラのブリーチングを真上から見るのもまた違った迫力かもしれないし、アフリカのフンコロガシが糞を見つけてからだんごにするまでの一部始終を追えるかもしれない。
ふたつめは、カメラを動物の体にとりつけ、動物の視点で見た映像。もし、カメラを電池も含めてさらに小型化し、長時間駆動できるようになったとしたら、レース鳩が自分の家に帰るまでにどういう視界情報を使っているかがわかるかもしれないし、モグラが一日にどれくらいの餌をとるのかがわかるかもしれない。ミツバチにつけて仲間のダンスが正しいかどうかを解読するのも面白いかもしれないし、マッコウクジラがパートナーとやりとりする歌を聞いて、その本当の意味がわかるかもしれない。
と、新年の初夢というわけではないけれど、ちょっと想像を膨らませてみた。今年も様々な視点からのたくさんの映像を、お待ちしております。
(本文で登場した動物から)
「ツルの北帰行」(データ番号: momo060327fg01b)
「ドバトの求愛行動」(データ番号: momo060608un01b)
「ウメの花に来たニホンミツバチ」(データ番号: momo060326ac01b)
「マッコウクジラの音声(Coda 1)」(データ番号: momo070322pm01b)石田 惣(大阪市立自然史博物館)
2008-01-04