子どものころ好きだった絵本を親が保管しておいてくれていた、というのはよくある話です。
子連れで実家に帰った時、子どもが絵本好きだという話をしたら、「こないだ押し入れの整理をして、本をたくさん捨てたり引き取ってもらったりしたんやけど、これ、路子の好きやった本やから取っておいたよ」と母が本を数冊出してきてくれました。「もぐらとじどうしゃ」「11ぴきのねことあほうどり」などなど、30年以上経った今も売られているものばかり。子どもに好かれる本というのは今も昔も変わらないのがおもしろいですね。他にはのちのちまで自分に影響を及ぼした本もありました。それは栗林慧さんの「科学のアルバム アリの世界」「科学のアルバム クモのひみつ」です。
図鑑をしょっちゅう眺めていた生き物大好きな幼稚園児でしたが、この本を初めて開いた時の衝撃と言ったら、、、
真っ白な幼虫やさなぎの世話をする働きアリ、地面からマンホールの蓋のようなものがパカッと開けて昆虫を中に引きずり込むクモ。そこには自分の知らないアリやクモの「生活」がありました。目で見るよりずっと大きなサイズで、生き生きとしているのです。だけど絵じゃない!見ているうちに自分が米粒のような大きさになって、アリやクモの巣にこっそり忍び込んでいるような気分になったものでした。
こういった生き物の科学絵本を読んだことが土壌になって、のちに生き物の研究をしたいと思うようになりました。
大きくなってからは、こういった本はほとんど読むことがなかったのですが、子どもが産まれてからは図書館の児童書コーナーで、自分用に借りてくることが多くなりました。字がたくさんあって読み聞かせには向いてないのですが、親が読んでいると、子どもは「なんだろう?ボクもよんでみたい!」と思うのか、いろいろと邪魔をしてきて、結局は普通の絵本のように読み聞かせるはめになります。今はまっているのは、旦那が買って来た「ニワトリの絵本」。息子はいつのまにか、積み木をつみながら「トウテンコウ、ホワイトコーチンバンタム、横斑プリマスロック、、、」とニワトリの品種をつぶやくようになってしまいました。
子育てをしていると、どうしても科学の先端にふれる機会は減ってしまい、取り残されたような寂しさを感じることもあるのですが、子どもと科学絵本を見ていると、目に映る物がみなキラキラして見えたあの頃の気持ちがふっとよみがえることがあって、これもなかなか貴重なことだと思わずにはいられません。原点に立ち返ること、いつまでも忘れたくないものです。
本に載っている種ではありませんが、働くアリとクモの映像を。
「アオオビハエトリの略奪行動」(データ番号: momo020619sv01b)
「ワスレナグモの餌捕獲」(データ番号: momo080519cs01b)佐藤路子(大阪市立自然史博物館外来研究員)
2009-03-13