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IEC in Rennes

福井市に飛来したコウノトリ
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国際動物行動学会議(International Ethological Congress)という隔年ごとに開かれる国際学会が8月19−24日の日程でフランスはRennesで開催されたので行ってきた。最初にIECに参加したのが1997年だから、もう随分になる。そのころのIECはまだかろうじて行動生態学が主流だったが、最適採餌行動なんてもうかなりぽしゃってたのを覚えている。動物行動学なんて分野でもやはり流行り廃りがあるもので、ある時期はFluctuating AsymmetryとかMHCとかFemale Choiceとか大流行で、それが隔年開催のIECにも如実に現れていたが、FAとかMHCなんてもう完全にぽしゃったなあ。それっぽい話をみんなで寄ってたかって調べつくしたってことか。その割に、すごいことがわかったって印象がないのは残念だ。

今年のIECの流行は、動物の認知かな。道具使用とか、脳の左右性とか、いろんなところで、動物が世界をどう見ているのかということを研究していた。脳の左右性というのは左右の脳半球の機能分化のことだが、これには脊椎動物では魚から哺乳類まで一貫した傾向があって、どの分類群でも右半球は非日常的なこととか捕食者への対応とか担っているのだそうだ。これは、左側からの捕食者への対応のほうが右側からの捕食者に対するものよりも速いという実験結果から示唆されている。しかも、こういう脳半球の機能分化は脊椎動物だけでなく、頭足類のような無脊椎動物でもあるらしい。なんでだろ。脳半球の機能分化は発生学的には説明できるかもしれないけれど、何の役に立つのかという機能の説明は難しい。だって、捕食者がいつも左からくるとは限らないからね。発表者もそういっていた。

認知の話では、イヌにヒトのいろいろな感情を表している顔をみせて区別させる実験が面白かった。イヌにヒトの顔写真を操作して作ったAnger, Fear, Joy, Disgust, Neutralの表情をみせたところ、AngerとFearだけを区別して認知したらしい。つまり、飼い主のnegativeな感情には敏感なのだな。Joyがわからないのがほんとなら、飼い主からすればちょとさびしい話ではある。

興味深かった研究をもうひとつ。これは新しい手法の話なのだが、シロアリの塚(巣)を丸ごととってきて、それを病院にあるCTスキャンみたいな映像診断装置を使って撮影して、内部構造を非破壊的に記録する。それで、各部屋や通路などを結節点とそれらを結ぶ線として表現して、グラフ理論を使ったネットワーク解析の手法で構造の性質を調べるというのがあった。その結果、アリ塚の内部構造をどう理解できたのかについてはまとまってなかったけれど、手法としては思いも寄らなかったものでびっくりした。

こういう発表を聞いていると「動物は世界をどう見ているのか」という問いは古来からヒトが抱いている興味を持っている問題であり、したがって多少の流行り廃りはあるにしろ、本質的にはずっと考え続けられるであろう王道の問題なんだろうなとおもう。とある発表の導入部分で、UxcullのUnweldがどうのというのがあったくらいだし。動物がどういうふうに世界を見ているのかという問いに答えようとする試みは、いってみればソロモンの指環を手に入れる試みで、それがある動物のある範囲の行動に限られているとしても、そういう試みの話を聴くのは楽しい。行動生態学は行動生態学で面白かったりつまらなかったりして続いていくだろうし、神経行動学はまたそれはそれで発展していくだろう。でも、やっぱり「動物は世界をこう認識しているんだ」というのは、行動学の基本なのだけど、それでだけでなく、こういうときにこうなったからこいつには世の中はこうみえているんだ、と理屈をつけて辻褄が合うところが、これはヒトの認知として面白いのだろうなとおもった。

学会のあとは、とある研究者を訪ねにStrasbourgへ。ここはコウノトリが有名らしい。街にはほとんどいないらしいけど。

というわけで紹介する映像は「福井市に飛来したコウノトリ」(データ番号: momo050714cb01b)
森貴久(帝京科学大学)
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