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名は体を表す?

アナジャコが脱皮をする際に見せるマゴコロガイの移動行動
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大学というところは一般に緑の多い場所であることが多く、その気になって探すと色々な生き物を見つけることができる。私の勤めているところにはギンメッキゴミグモという小さなクモがいる。このクモはジョロウグモなどと違って脚が短く、網に止る時はその短い脚を更にたたんでちょこんとまーるくたたずんでいて、大変かわいらしい。さらにその網は、繊細の一語に尽きる目の細かさだ。朝早くに張りたての網を見ていると、もううっとり。。。

それはともかく、不思議なのはその名前である。このクモは餌を食べ終わった後のゴミ等を使って網を飾り立てるゴミグモ属の一種で、背中がギンイロであることから、ギンメッキゴミグモと言われているわけだが、良く考えたらギンゴミグモとかギンイロゴミグモとかいう名前で構わないではないか。しかし、これが当のギンメッキゴミグモは見事に金属的な色合いで、眺めていると「メッキとは良く言ったものだ」とうっかり納得しそうになるのだが、もっともっと良く考えたら金属的でないギンイロはただの灰色なんだから、わざわざ「メッキ」とつける必要はないと言っても良いような気がする。さらにさらに、実はギンメッキゴミグモによく似た色をしているのだが腹部がひょろ長い別の種もいて、こいつはちゃんとギンナガゴミグモと言う。こちらはどうしてギンメッキナガゴミグモじゃない?

さて、「アナジャコが脱皮をする際に見せるマゴコロガイの移動行動」(データ番号: momo030708po01a)である。マゴコロガイはアナジャコの胸部の腹側に住み着いている貝なのだが、アナジャコは時々脱皮をするので、貝とすればそのとき一緒に脱ぎ捨てられてしまうと困る。困るから、アナジャコが脱皮を開始して頭胸部が背中側から抜け出るとそちら側に移動し、脱皮が完了すると再び腹側の定位置に戻る、という事をしているらしい。

名前の話だ。マゴコロガイは二枚貝である。二枚貝は見る角度によってはハート型に見える。それが胸についている。マゴコロガイ。

なぜココロガイではないのだろう?「マ」一つとバカにしてはいけない。「マ」がなければマグロの刺し身もグロの刺し身である。ちっともおいしそうじゃない。「マサカリかついだ金太郎」なんて、サカリがついた金太郎みたいだ。お子様お断りである。いや、つまり、マゴコロだからこそアナジャコとのうるわしい関係がイメージされてくる。ちなみに辞書でマゴコロの意味を調べると、「他人のために尽くそうという純粋な気持ち。偽りや飾りのない心。誠意」と書いてある。ココロガイという名前ではそんな気持ちにはなれそうもないからして(私だけか?)、マゴコロの「マ」はギンメッキの「メッキ」とは重要性が随分違っていると言えよう。

しかし、だ。名は体を表すとは限らないのである。このマゴコロガイ、実は胸に住み着いてアナジャコの餌を横取りしている寄生性の生物らしいのだ(決してウソではない)。いったいそこにマゴコロはあるのだろうか?
中田兼介(東京経済大)
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