筆者は瀬底島のサンゴ礁で、クマノミ・ハマクマノミ・ハナビラクマノミの繁殖ペアの解消と形成を研究していた(1981〜1983年)。院生になった当時は、サンゴ礁上に縄張りを形成して定住するスズメダイならば、個体数のカウントが可能なので個体群生態学の技法で潜水観察による研究が可能だろうと考えたのであった。
クマノミの第一印象は、イソギンチャクに隠れている弱々しいスズメダイであった。すみかのイソギンチャクを耐水紙に描いたサンゴ礁のマップ上にプロットして、二週間に一度個体数のカウントを行った。クマノミは他のスズメダイと同じように岩盤の裸出部に卵を産み付ける。イソギンチャクの周辺部を噛んで、めくりあげるときれいな岩盤が裸出するので、そこに卵を産む。
クマノミは繁殖ペアが一つイソギンチャクに同居しているので、都合2個体の成魚が卵の近くに「いつも」いる。夜はイソギンチャクの触手の中で眠っている。ダイバーが近づくと、ふつう雄が激しく攻撃する。一度、額にきれいな歯形を頂戴したことがあった。かなりクマノミはケンカが強い。刺胞をもつイソギンチャクの触手もすぐ近くにあるので、悪食のベラもクマノミの産卵床には近づかず、食害されることは稀なようだった。
クラカオスズメダイでは雄が単独で卵塊を守る
「クラカオスズメダイの訪問行動」(データ番号: momo080601ac01a)、卵はイソギンチャクの近くではなく裸出した岩盤上に産むのが普通である。夜更け間もなくクマノミの寝ている様子を観察するために潜水すると、クラカオスズメダイの卵塊をイイジマウミヘビが貪っていた。雄1個体が攻撃しても、10cmに満たないスズメダイと1mになんなんとするウミヘビではどうしようもなかった。この人工産卵床の卵塊を守るのはさぞ大変だろう、頑張ってくれ。
広瀬祐司(大阪府立茨木高等学校)
2008-10-24