「隊長」
『なんだ』
「自分たちは地球の生物の捕獲に来たわけでありますが」
『そうだ』
「どんな生物を持ち帰ればよいのでありますか?」
『うむ、それはまず、海だ』
「海、ですか」
『そうだ。われわれの星には海がない。ならば、海に潜ればよいのではないか』
「潜る、とはどういうことでありますか」
『潜るというのはだな、つまり、海の中では息ができない。したがって、息をとめて水の中に入ることを、地球では潜るというのだ』
「息を止めるでありますか。それは辛そうであります」
『お前がやるのだ』
「えっ。マジでありますか」
『いいヤツだったな・・』
「殺さないでください」
『すまんすまん。そんなこともあろうかと、こういうサイトを探しておいた。動物行動の映像データベースだ』
「なんでありますか、これは」
『・・・と、こういうサイトなのだ』
「それはスゴイであります」
『さっそく海の生物を探すのだ』
「了解であります。ポチッとな。これはなんでありますか」
「タコの大変身」(データ番号: momo040202os01b)
『おお、これはタコだ。タコは擬態の天才なのだと大学の地球生物学で習ったぞ。タコがカレイやウミヘビに擬態しているのだ』
「どっちがタコでどっちがカレイでどれがウミヘビなのでありますか」
『それは・・・次、いってみよう』
「だめだこりゃ。では、ポチッ。これはなんでありますか。タコに似ておりますが」
「アオリイカ雄の体サイズ依存代替交接行動」(データ番号: momo051121sl01b)
『おお、これはイカだ。同じくタコのなかまで、精子の入ったカプセルを脚で受け渡すと地球生物学で習ったぞ。まさしくその映像だ』
「1匹目と2匹目のオスの違いはなんでありますか」
『2匹目はメスに気に入ってもらえないようだ。なので、ちょっとだけよ〜、という感じなのだな』
「あんたも好きね〜。ところで、人間はどうしてこういう映像が撮れるのでありますか? 水の中で息ができるのでありますか?」
『いい質問だ。人間は圧縮空気の入った容器を背負って潜るシステムを開発しているらしい』
「ホンソメワケベラの♀♀産卵行動」(データ番号: momo011123ld01a)
「なんだ、こういうのがあるでありますか。そしてなんと、この魚、性転換するでありますか」
『社会的順位が上がってメスからオスになる際、生殖巣の転換が追いつかないうちにオスの行動をとってしまうらしい。私ってダメな女ね、というところか』
「今回はドリフでありますか。ところで、やっぱり潜るのはたいへんであります」
『それなら、潮間帯はどうだ。潜らなくてよいぞ。干潟など面白そうだ』
「塩の投入に対するマテガイの飛び出し行動」(データ番号: momo050501ss01b)
「これは面白いであります。しかも塩だけで飛び出してくるなんて、手軽であります。これを捕獲したいであります」
『しかし、干潟は泥だらけになりそうだな。帰る時はもちろん、』
「風呂入れよ!」
『また来週!』
石田 惣(福井市自然史博物館)
2006-01-27