視る・想うRSS

[データベースホーム]

オビテンスモドキの「巧みさ」

オビテンスモドキの寝床づくり
↑click to play

コラム連載開始!

おかげさまで,このデータベースの登録映像は150を越え,さらに増え続けています。ますます,魅力的になるこのデータベースを,さらに楽しんでいただくため,これまでに登録された映像の中から毎週1本の映像を選び,皆さんにご紹介していくことにしました。

執筆者は,このデータベース運営メンバーや運営グループが依頼した方達です。映像を選ぶ視点は,執筆者によって違うでしょうが,それぞれに魅力的な映像を,あるいは,その映像の気がつきにくい見どころなどをご紹介して行きます。どうぞ,お楽しみください。

*******************************************
オビテンスモドキは魚である。魚といえば水の中の生き物であるが,彼らは寝る時には砂の中で寝る。砂の中で寝るのに、彼等はなぜかサンゴ片を集めて砂の上にのせる。なぜこんな「余計」なことをするのだろうか。高柳さんはこれについて「普通の魚には動かせないような大きなサンゴをいくつもかぶせることで、砂に潜って寝る他のベラ類から睡眠場所を守ることができているのでは」と書いている(関連論文が参考文献としてあげてある)。なるほど、である。

どうでもいいが、私は寝る時に布団が重くないと安心して眠れないくちである。私の父親もそうだったらしく、泊めてもらった先のふとんがあんまり軽かったので机をかぶせて寝たと言っていた。オビテンスモドキも砂が重くないと寝た気がしないのだろうか。

閑話休題。他のベラ類が潜りにくいようにサンゴ片を置くのだとすると、当の本人はどうやって寝床に入るのだろう。映像をみると、オビテンスモドキは、サンゴ片を一つ口でくわえて動かし、その空いたスペースから、スルッと一瞬で潜り込んでいる。見事なものである。まるで砂に吸い込まれるようだ。

コマ送りで見ると、尾ヒレを一回往復させる間に全身が砂の中に消えている。こういうのを「巧み」というのだと思う。職人技や高度なアスリートは、しばしば複雑な運動を、いとも簡単そうにやってみせる。彼等のそういった体の動きを私達は賞賛するわけだが、ヒト以外の動物の行動にも、同じような感嘆の念を覚えることがある。今回の映像にもそれを感じる。

このような「巧みさ」は文章ではなかなか伝えられない。今回のオビテンスモドキの行動の、言葉で言えば「砂に潜った」でしまいである。しかし、彼らの行動にはそれだけでは語り尽くせないものがある。

行動自体の魅力、動物が動いているそれ自体から感じる感動。そういったものを伝えるには「見る」しかないのかもしれない(いや「触れる」ってのもあるかな)。

今回紹介した映像は高柳茂暢さんの「オビテンスモドキの寝床づくり」(データ番号: momo031201nt01a)です。
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2004-10-22

バックナンバー

2006-02-24〜2006-06-02
2006-02-17
ボッソウの人々
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2006-02-10
ゆとり:遊んで過ごした日々
広瀬祐司(大阪府立茨木高校)
2006-02-03
人間も動物だったのね
佐藤ミチコ(大阪自然史博外来研究員)
2006-01-27
チキュウノ セイブツヲ ホカクセヨ
石田 惣(福井市自然史博物館)
2006-01-20
トライアル・アンド・エラー
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2006-01-13
イヌの話
西 浩孝(京都大学大学院 理学研究科 動物学教室)
2006-01-06
動かない動き
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2005-12-30
十二支
井上 真(MOMO 運営ボランティア)
2005-12-23
Yes, Virginia
森貴久(帝京科学大)
2005-12-16
思い出したこと
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2005-12-09
野球場に連れてって
中田兼介(東京経済大学)
2005-12-02
高校生の眼で見たデジタル映像コンテスト
広瀬祐司(大阪府立茨木高校)
2005-11-25
宿主の気持ち
佐藤ミチコ(大阪自然史博外来研究員)
2005-11-18
冬空に回すカメラ
石田 惣(福井市自然史博物館)
2005-11-11
周りが私にそうさせる
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2005-07-29〜2005-11-04