3月25日のコラムで予告したとおり,カタツムリの交尾行動を紹介したいと思う.ただ,ちょっとアダルトな感じの内容になってしまうので,そういうのがお嫌いな方はご遠慮いただきたい.
まず,多くのカタツムリは雌雄同体である.つまり,同時に雄でもあり雌でもあるのだ.彼らの交尾行動はというと,
「ニシキマイマイの交尾」(データ番号: momo011109es01b)の後半を見ると,2本のヒモ状のもので2個体がつながっているのがわかるだろうか.このヒモがペニスである.お互いにペニスを相手の膣に挿入して精子を送り込むことにより,同時に2個体ともが受精することができるのだ.雌雄が分かれている動物の場合,交尾相手を探す場合には異性を見つけなければならない.雌雄が1:1の割合でいるとして,1/2の確率でしか異性に出会うことができない.それに対して雌雄同体であれば,出会った相手は成熟していれば誰でも交尾可能なわけだ.カタツムリは移動能力に乏しいので,限られた出会いの機会を最大限生かせるようにこのような繁殖戦略が進化したと言われている.
カタツムリが移動能力に乏しいと言っても,ただ闇雲に歩き回って交尾相手を探しているわけではない.たとえば,繁殖期になると大触覚の間から頭瘤(とうりゅう)というこぶ状のものが出てきて性フェロモンを分泌することが知られている.また,カタツムリの這った跡に粘液が残るが,それを辿ることによって他個体を見つけることができると言われている.
そして相手が見つかったらプロポーズである.
「アマノヤマタカマイマイの交尾失敗」(データ番号: momo010729sa03b)にはしつこくアプローチするものの振られる様子が撮影されていて,残された一匹には哀愁が感じられる.
さて,カタツムリにはSMプレイをするものがいると言ったら信じられるだろうか.残念ながらそのシーンはMOMOに登録されていないのだが,
「ナミマイマイの交尾(恋矢の出し入れ)」(データ番号: momo050422es01b)にプレイに使う道具が映っている.その道具とは「恋矢(Love dart)」と呼ばれる,先のとがった槍状のもの.その槍で相手の体を突き刺すのだ.突き刺すことによって興奮を高めるというのであれば面白いのだが,どうもそうではないらしい.最近の研究によると自分の受精成功を高めるために相手にクスリ(正確にはアロホルモン:同種他個体に作用するホルモン)を注射しているらしい(※).
その他面白い行動として,ダンスをするカタツムリもいるらしい.中部地方に生息するミカワマイマイは,繁殖期の雨の降る夜に集まってきて,頭を持ち上げてゆらゆらと体を揺らすのだという.是非とも映像に撮りたいものだ.
最後に衝撃的な映像を紹介したい.
Home of the Slug Loveというページの下の方にある下から2つ目のXXXをクリックして欲しい.これはバナナナメクジというナメクジの交尾後の行動である.相手のペニスを口で何やらやっている.何と相手のペニスを噛みきって食べてしまっているのだ.しかも噛みきられたら再生はしないという.男性として想像するだに恐怖である.
※:興味がある方はつい最近出た
Koene and Schulenburg(2005)から引用文献をたぐってください.
西 浩孝((京都大学大学院 理学研究科 動物学教室)
2005-04-22