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バランスをとるカワウ
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カワウの集団採餌
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電線にカワウがとまっている「バランスをとるカワウ」(データ番号: momo080119un03b)。カワウの脚には水かきがあり,だからとてもじゃないが細い電線にとまるなんてそりゃ無理だよとおもうのだが,案の定ぐらぐらしている。細い枝につかまることがあるからそれの応用なのだろうか。

カワウについては少しだけ研究上の関わりがあって,その昔,胃内容物を採取するために有害駆除された数十個体のカワウを片端から解剖したことがある。腐敗が少し進行していて,腹部を正中線に沿って切開したときに,ぼわっと音をたてて立ち上る腹腔内の気体のくささにほんとに泣きそうになった。いや,少し涙ぐんだかもしれない。

解剖したのは琵琶湖のカワウなのだが,この解剖が縁で琵琶湖をカワウの採餌について少し調査したのが2000-2001年ごろのことだ。近江八幡の湖岸からゴムボートを出して近くのカワウの集団営巣地から採餌に出かける個体をどどどどどどと追いかけるのだ。ボートのスピードよりもカワウの飛ぶスピードのほうが速いので,追いかけてもすぐに見失うのだけれど,採餌に向かうカワウは同じ方向へと飛んでいくので,あとから別の個体が,行くべき方向を指し示してくれる。そうやって数十分北上していくと,彦根沖あたりに突如として採餌集団が現れるのである。

これは私だけの発見かといえばそんなことはなく,ちゃんとMOMOには「カワウの集団採餌」(データ番号: momo070627pc01b)と集団採餌の映像がある。湖岸に近いところで形成された集団を撮影したこの映像では画面の関係で集団の大きさがわかりにくいが,私が観察していた彦根沖あたりに出現する採餌集団は千羽を超える大きさになる。そういう場所が琵琶湖にはいくつかできるのだが,それがどういうわけでそこにできるのかを調べようとして,そのまま今に至っている。

カワウというのはおもしろい鳥で,琵琶湖ではいまやアユをくう悪いやつの扱いだが,その昔は個体数が激減して,日本からは絶滅するかもしれないと心配されたことがあるのだ。それがどういうわけか現在個体数を劇的に回復していて,あちこちに分布を広げている。不思議な鳥である。カワウだけでなくウというグループも不思議なグループで,英語ではshagとcormorantに分けられるのだが,属としてはPharacrocoraxしかない。それだけでなく,ウ科はその1属だけとする見解が主流になっている。つまりウのみなのだ。くうときだけかとおもった。ウなんてどこにでもいそうだし,その認識は正しいのだが,分類上は少し孤立したグループということになる。

そういやアビの仲間も1科1属(で1目)で,ウと同じ魚食いの水鳥である。ウミウを使って魚を捕る鵜飼いは有名だが,アビも漁に使われる。1科1属の魚食いの水鳥はそういうのに使われることになってるのかな。アビがイカナゴをくうのを利用して,そのイカナゴを目当てに集まるタイを釣るらしい。だれでもおもうことだが,つまり,アビで鯛を釣るということだ。
森貴久(帝京科学大学)
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