この二月で50歳になってしまった、最後に海に潜ったのはいつだったか思い出せない。時計だけは、いつでも海に潜れるようにと、未だにダイバーウォッチを買い換え続けている。昨年夏は、自分の教えている高校三年生といっしょに天神崎臨海実習へ行く予定だったけど、台風のストライクで中止してしまった。かろうじて、小学校5年生と春に天神崎へ行ったことだけか・・・。
瀬底島のサンゴ礁で、クマノミの研究をしていた頃がなつかしい。ただし、お楽しみのためにはウェットスーツに身を固めてて、SCUBAを背負うと「仕事」の気持ちになるので、これは避けたいものだ。
「2つの姿勢を模した模型に対するミスジチョウチョウウオの反応」(データ番号: momo071010cl01b)にはSCUBAの吸・排気音がきれいに入っている。このような浅いリーフフラットで、クマノミ3種の住んでいるイソギンチャクを定期的に訪問して、ペアの解消・形成を追跡していたのだった。今にして思えば、クマノミの家庭訪問をしていたのだな。
楽しみで潜るには、Tシャツと短パンにマスク・シュノーケル・フィンの三点セットを身につけて海に入るのが最高だ。たとえば、
「ゆっくり泳ぐアオウミガメ」(データ番号: momo070721cm02b)、これは天国ですよ!画面を見ている自分の素肌に海水の感触がよみがえる。撮影者はとてもしなやかに潜水していて、その動きがカメラアングルの変化から見て取れる。瀬底で出会ったウミガメはアカもアオも分からないうちに、ヒレを一振りして視界から遠ざかっていくのが通例だったのに、このカメは違う。息が続かなくなって、浮上するときの感触も、
「海藻を食べるアオウミガメ」(データ番号: momo070721cm01b)を見ていると体によみがえってくる。
さて、昨年成立した新しい教育基本法には、教育の5つの目標が示された。そのひとつに、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」がある。地球の半分以上は海で、日本は周囲を海に囲まれた島国。熱帯雨林はないけれど、世界に誇るサンゴ礁がある。生徒たちにはもっと海を知り、感じて欲しい、そして愛して欲しい。
教育出版の生物II教科書には、「サンゴ礁分布の変化予想図」が掲載されている。日本のサンゴ礁は、危機的状態にあり、10〜20年内に喪失すると記載されている。生徒たちに、その図をパワーポイントのスライドで見せ、自身で撮影した沖縄のサンゴ礁とそこに住む魚たちの写真を見せた。そして「このサンゴ礁が消えてなくなることは、とてもとても自分にとってつらいことだ・・」と告白した、愛を告白したようなものだった。
広瀬祐司(大阪府立茨木高等学校)
2008-03-21