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ゴカイ・ウォッチングとワレカラの追っかけ

ウミケムシ科の一種Hipponoa gaudichaudiの尾部
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ケヤリムシ鰓環の収縮と展開
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ワレカラの移動
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環境省が「モニタリングサイト1000」(略してモニ1000)という事業を立ち上げはじめた。これは、日本のさまざまな生態系から1000ヶ所程度を選び、長期的に生物相の調査をしようという試みで、自然環境の変化を早期に、的確に把握できることが期待されている。で、わたしは沿岸域の磯環境の分科会というのに去年から関わり、調査方法やサイトの選定を話しあってきた。ちなみに沿岸域には他に干潟や藻場、アマモ場といった分科会もあって、それぞれをフィールドとする人たちが集まり、あれやこれやと話をしてきた。

さて、そのような生態系ごとの分科会の人たちが集まって共通の課題を話しあうという全体会合が先日あって、この一年間で決まった各調査方法やサイトの発表が行われた。そこで初めて気付いたのは、沿岸域のモニタリングが他の生態系に比べてかなり「浮いている」ということだった。

というのは、沿岸域の調査のほとんどは研究者頼みを前提にしている。なので、1シーズンに調査できるサイト数は各分科会でせいぜい5〜10ヶ所だろう、という結論を出していた。それに対して、例えば「シギ・チドリ類」や「ガン・カモ類」、「里地里山」調査はそれぞれ100ヶ所近くもサイトがある。つまりこれは、各地ですでに地元の人たちの手で調査の行われている場所があって、それらがモニ1000のサイトに選ばれた、ということを示している。鳥や昆虫、陸上植物といった分類群は、興味を持つ人たちのすそ野がとても広い。パッと見て種を同定できる人は結構いるし、そうでなくても写真を撮るのが趣味、という人は多い。

一方で、例えば干潟に住むゴカイをパッと見で同定したりだとか、各地の藻場を巡ってワレカラの写真を撮るのが趣味だとか、そういう人はいないわけではないけれど、絶対数としてはとても少ない。それは、MOMOへの分類群ごとの登録数にも現れている。綱レベルで断トツに多いのは鳥と昆虫で(哺乳類も多いけど、これは霊長類の研究者が頑張っているから)、ゴカイの仲間は11件、ワレカラは2件しかなかった。

とはいっても、興味持つ人少ないからねえ、と言ってサイト数が少ないままでいいかというと、そうではないだろう。頑張って海のマイナーな分類群に興味を持つ人のすそ野を増やしていかないと、モニ1000の中で真っ先に挫折するのは沿岸域かもしれない。というわけで、ゴカイやワレカラはかくも美しくかわいいのですよ、ということを普及すべく、映像を選んでみました。MOMOに来た人でそういう人が一人でも増えますように。

「ウミケムシ科の一種Hipponoa gaudichaudiの尾部」(データ番号: momo050215hg02b)
「ケヤリムシ鰓環の収縮と展開」(データ番号: momo050909sj01b)
「ワレカラの移動」(データ番号: momo030428cp01b)
石田 惣(大阪市立自然史博物館)
2008-03-07

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