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猫に小判、松之山でのデジビデ?

ゲンジボタルの求愛と交尾
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モリアオガエルの産卵
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ひょっとすると前回のコラムを見てお気づきの方もいらっしゃるかも知れないが、この4月から愛知県豊橋市にある豊橋市自然史博物館に所属が変わった。この博物館は豊橋総合動植物公園の中にあるのだが、同じ敷地内に博物館と動物園、植物園、それに遊園地があるというのは、全国的にも珍しいのではないかと思う。公園内をじっくり見て回るには一日じゃ足りないのではないかと思うくらい見所たっぷりなので、機会があればぜひ遊びに来てくださいませ。

さて、ここに来る前に研究員をしていた新潟県十日町市の越後松之山「森の学校」キョロロという小さな博物館は、周りを大自然に囲まれたすばらしい環境に立地していた。1年数ヶ月前、そこの研究員になったときに私は当コラムで「松之山の生き物をいろいろ撮影したい」と抱負を書いている。

そして、その目標を達成するため、早速研究費でデジタルビデオカメラを購入した。しかし……動物の行動を撮影するというのは結構難しいものである。

例えば、ホタル。十日町市は、ちょうどゲンジボタルの西日本型(発光間隔2秒)と東日本型(発光間隔4秒)の境界付近にあたる。そこで、光っているホタルを撮影すれば、境界付近では発光間隔がどうなっているかというデータも取れるし、MOMOにも登録できると思ったのだ。しかし、実際に撮影してみると真っ黒の背景の中で黄色い点が点滅するという映像になってしまった。それに、ビデオでは目で見るのに比べて暗くしか映らないのもがっかりで、「MOMOに登録するにはちょっとなぁ」という感じだった。

MOMOには、「ゲンジボタルの求愛と交尾」(データ番号: momo041024lc01b)という映像が登録されている。一度自分で撮影に挑戦してみると、この映像では発光と虫の姿が同時に映っていて、実によく撮れていることがわかるのである。

結局、キョロロの研究員在任中に撮影してMOMOに登録できた映像は、「モリアオガエルの産卵」(データ番号: momo080602ra01b)だけであった。これはキョロロから歩いてほんの1分ほどのところにある「モリアオ池」と呼ばれるため池で撮影したものである。名前の通り、梅雨の時期になるとモリアオガエルが池のまわりにたくさん卵を産みにくるのだ。そして、いかにもモリアオが産卵しそうな雨の日にモリアオ池に行ってみたところ、正しくモリアオガエルが産卵中であった。モリアオガエルは珍しいカエルだと思っていたので、モリアオガエルの産卵をこの目で見ることができたのは感激だった。

ところで、この映像に映っているのは新しい生命の誕生という感動的な場面であるが、周りの森から産卵のために集まって来た彼・彼女らは、実は死の危険にさらされているのである。この映像を撮影中、木の枝を見上げると何匹ものシマヘビの姿が……。また、この時期カラスが謎の物体を食べ残していたのであるが、調べてみるとモリアオガエルの皮と卵巣であった。皮は有毒と聞いたことがあるが、卵巣はまずいのだろうか?

それにしても、あれだけの自然環境に恵まれていながら、撮影できた動画の少なさを思うと、つくづくもったいないことをした。でも、今の勤務先も公園内なので、生き物がいないわけじゃない。また、近くに山や干潟もある。こちらで撮れる題材を探してみたいと思う。
西 浩孝(豊橋市自然史博物館)
2008-07-18

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