「ホカケハナダイの求愛と産卵」(データ番号: momo040113un01b)
ん?なんですかこの魚。知りませんよ。ホカケハナダイ。
手元の大きな魚類図鑑にも載ってません!
ほんとにこれハナダイの仲間ですか?えっひょっとして魚じゃないかも、宇宙生物?
少々取り乱しましたが、どうやら1998年くらいから伊豆で目撃されはじめた魚らしいことが判明しました! 2001年に論文が発表された 新種ですか(興味のある方Ichthyological Research2001年48巻77-81頁です)。しかも著者はMasuda &Randallという魚類学の巨匠ですよ。巷のこの騒ぎは俺たちがおさめるしかあるめえ、って感じですね。文句なしです。
この魚種の分類されるRabaulichthys属がそもそも1984年に初めて定義された新しいグループらしいのですが、これまでに2種が確認されていて、その採集された水深が40m近い(無理です)!なるほど深いところにいるから謎だったのかと、おもいつつMasuda & Randallの論文にみると、ホカケハナダイの標本を採集した水深が...なになに5-15m?なんでそんな浅いとこで出現するの?すごいね伊豆は。
魚の分類がはっきりしただけでなく、こんなにばっちり繁殖行動まで赤裸々にされては、たまりませんね。もう隠すところはありませんよ、ホカケ君。
ディスプレイでジャンプを繰り返すとことろはやはりハナダイの仲間ですね。しかし、そばにいるキンギョハナダイはまったく無反応ですね(イトヒキベラももちろん無視ですね)。ここまで雄の体色が凄い個性的だと同種と間違えようがないってことですかねえ。ホカケ君のダンスに気持ちを奪われるのは僕達だけみたいですね(やっぱり人間の感性ってすごい)。
どんな魚でもそうですが、求愛中はほんと無防備ですね。これが謎のベールに魚であったとは思えない程、あっけらかんとした踊りっぷり。大胆なダンスですね。撮影された山口さんもアングルがすばらしく冷静で、その対比がまたすばらしい。
雌と雄のこきざみな上昇が徐々に同調してくるシーンは、見ているこちらも気分が高調してきます。雌はかなり捕食を警戒しているようですね。プランクトンを食べている魚たちの群がりを越えて産卵するシーンにはおもわず「よし」とガッツポーズをしたくなります(これ、わかります?)。
この産卵を見る限り、ホカケ君はこの環境(この映像は水深10-20mくらいですかね)にうまく適合できているように思えます。もし深いところに本来生息しているのだとすると、水深40mの世界でもこれとまったく同じ振る舞いをしてるのか興味深いですね。高く産卵上昇することが得意な魚には見えません。
論文によると、伊豆半島の沖合いで最初にこの魚をみつけ、翌年には伊豆半島の西海岸、東海岸でもみつかったとのこと。なるほど、どんどん増えているのかもしれませんね。でもこれまで見つからなかったのになんで急に増えるのでしょうね?まさか地球侵略(そろそろ飽きましたね、このネタ)?水深40mの世界でなにか大きな環境変化が起こっているのでしょうか。 あるいは以浅の水中世界の環境が大きく変わったせいかもしれません。
さて再び画像をみてみましょう。雄どうしでけんかして雌をとりあってますね。立派にハナダイしてますよ彼らは。きっと個体群がますます拡大中なんでしょうね。やっぱり性転換するんでしょうねえ、ホカケ君も。雌から雄へ、ここまで変わるなら究極ですね。プランクトン食のようなので、きっと他の魚とは攻撃的な関係にならないんでしょうね。でもやっぱり不思議なのが、なんで急に現れたのかってこと(話を戻すなよ!)。ほんと、ホカケは一体どこからやってきたんでしょうか?ほんわかホカケ君の繁殖行動の影になんとなく意味深なメッセージがあるように思えてならない本日のmomo鑑賞でありました。
坂井陽一(広島大学)
2004-12-11