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嘘の信号

宿主のオオルリに翼の裏側の“嘴”パッチをディスプレイするジュウイチの雛
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暗い巣の中で,ジュウイチの雛が持つ“嘴”パッチに,2回誤って給餌を試みるルリビタキの宿主
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普通,信号とは「何かの情報を伝えるための手段」と考えられる。しかし,なぜその情報を伝えなければならないのだろうか? つまり,何のために?

信号を出す側が,その信号で何をしようとしているのかといえば,結局のところ,相手の行動を変えようとしているのだと思われる。闘争において,何かの信号を出す者は,相手を引き下がらせようとしているのであり,求愛において信号を出すオスは,相手に選んでもらいたいのである。

であれば,何も送り手はいつも正直な信号を出すとは限らないのではないか。目的のためには手段を選ばず。「嘘の信号」を出しているかもしれない。

例えば,「宿主のオオルリに翼の裏側の“嘴”パッチをディスプレイするジュウイチの雛」(データ番号: momo060120cf01b)。ジュウイチは托卵鳥で,オオルリやルリビタキの巣に卵を産み,雛を育てさせる。もう最初っから嘘つきな鳥である。しかし,嘘はそれだけはない。

ジュウイチの雛の翼の裏には,黄色い部分があり,宿主が給餌にやってくると,翼を持ち上げてこの黄色いパッチを派手に見せびらかすのである。どうも,彼らは,巣内にいる雛の数を多く錯覚させ,餌を多く運ばせているらしい。実際,この黄色い皮膚を黒く塗ると,宿主は給餌回数を減少させるらしい。また,「暗い巣の中で,ジュウイチの雛が持つ“嘴”パッチに,2回誤って給餌を試みるルリビタキの宿主」(データ番号: momo060120cf02a),を見れば,ルリビタキが黄色いパッチに餌を与えようとしている。ジュウイチの嘘は,まんまとうまくいっているようだ。

ジュウイチにだまされるルリビタキを見ているとかわいそうになってくる。こんな嘘なぞ見抜くようになぜならないのだろう。というか,そもそもなぜ托卵された時点でそれを見抜くように進化しないのだろう。どうやらこれはかなり複雑な問題で,完全には解かれていないらしい。現時点での説明については,例えば「これからの鳥類学」(裳華房)に入っている高須さんの論文などを読んでいただくといいかもしれない。

うーん。この文章,だんだん何をしたかったのかわからなくなってきた。

なんにせよ,自然界にはこのような嘘の信号がある,ということである。では,逆に正直な信号はどうなのか。嘘つきを押え,正直な信号の進化を促す仕組みはないのか。そんな話をしたかったような気もする。

それにしてもジュウイチ凄いな。

紹介した映像のインパクトが強すぎた。
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
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