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There's far too many of you dying

ツノクロツヤムシの幼虫への給餌行動
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一番子から餌をもらうバンの二番子
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バンの給餌2
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人類初めての殺人は兄弟同士で起ったことになっている。カインとアベルである。農夫のカインが地の作物を、羊飼いのアベルが羊の子のうち最上のものを神への捧げものとして持っていったところ、神がカインを無視したため、憤ったカインがアベルを殺したという話だ。限られた資源を必要とする複数のプレーヤーの間で競争関係が生じるというのは生態学では馴染みの考え方であり、カインの殺人もうっかりこの文脈で解釈したくなる。しかし神の愛は無限であるはずだから、事件の背景に兄弟同士の対立があったというのはおよそありそうにない話に思える。

一方で、普通の家族では兄弟の対立は不思議ではない。なんなれば親が子育てに投じる労力は有限だからだ。この労力が一腹の子を全て育て上げるのに十分でない状況が常に起るのであれば、兄弟殺しが進化しうる状況が整っていると言える。実際、動物の世界を見ると兄弟殺しを行なうケースがチラホラと見られる。例えば圓戸ら(2003)によると、ツノクロツヤムシは最大4個の卵を産むにも関わらず、孵化した幼虫が殺し合うために蛹になるのは常に1個体だそうだ。「ツノクロツヤムシの幼虫への給餌行動」(データ番号: momo021121cp01b)にあるように、ツノクロツヤムシは親が子に餌を与えて育てる。このため一度の繁殖で一個体だけしか育て上げられないと圓戸ら(2003)は考えている。

さて、4月4日だからと殺伐とした話を続けてきたわけだが、ここで少し方向を変えよう。兄弟同士の関係は、対立ばかりではないのだ。そんな例として取り上げたいのが、「一番子から餌をもらうバンの二番子」(データ番号: momo070714un01b)。鳥には、巣立ちの終った若鳥がヘルパーとして親の子育てを助ける種がしばしば見られるのだが、バンはその一種だとされている。で、親の子育てを助けると言う事はすなわち兄弟を育てるということ。この映像は二腹目の子が先に大きくなった一腹目の子から餌をもらっているところのようだ。まあこの場合兄弟とは言っても、同じ資源を巡る競争が生じやすい同じ腹の子同士ではないというところには注意が必要だ。対立を避けるには競争を回避するのが一番、というのはどこの世界でも通じる原則かもしれない(あれ?じゃあ普通の兄弟よりも双子の方が仲が悪かったりするのか?)

ところで、餌をあげているのがヘルパーだとどうしてわかるかというと、「バンの給餌2」(データ番号: momo070523un01b)で餌をあげている個体との色の違いに着目すれば良いのである。これを見れば、大人のバンのカラーリングが全身黒っぽいところに赤い嘴であるのがわかるが、一方最初の映像で餌をあげている個体はもっと茶色っぽい。これはすなわちまだ幼鳥だから、ということだ。どうでもいいが、帰ったばかりのヒナも全身黒に赤い嘴なわけで、幼鳥だけなぜ違うカラーリングなのだろう?

それはともかく、二つ目の映像に出てくるヒナの愛らしさはどうだ。まだ羽の生えていない小さな手をチョコマカ動かしては親鳥についていく。こんなことをされてはいかな意地悪なお兄ちゃんでも餌をあげたくなってくると言うものではないか?

と、すっかり心が和んだところで、再びカインとアベルの話に戻る。これは、農耕民と牧畜民の土地利用の違いから構造的に生じる対立を引喩的に表しているものだという話もあるらしい。そういえばこの対立は中国の歴史を貫く大きな流れの一つと言われたり、西部劇の主要なテーマの一つと言われたりと、人の社会のいろんなところに顔を出すもののようである。ここで一つ疑問に思うのは、この対立が本当だったとして、それを殺人にまで至らしめた側がなぜカインでなければならなかったのか?ということなのだが、そろそろ紙幅が尽きそうなので、またその話はいつか。

参考文献:
圓戸恭子・荒谷邦雄・近雅博 (2003)ツノクロツヤムシ幼虫の兄弟間闘争、日本動物行動学会第22回大会発表要旨集、p82
中田兼介(東京経済大学)
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