「アカマタ(蛇)による砂中のウミガメ幼体の捕食」(データ番号: momo010930ds01b)
猿は縄を見ても怖がるというが、ヘビというのは恐ろしい生き物だという記憶は、哺乳類の記憶の中に刻み込まれているらしい。時々それを忘れて生まれてくる人たちがいるが、たいていの人がヘビをいやがる。小さな内から鍛えておけば、ヘビだろうとトカゲだろうと怖がらぬようになるだろうと、子供達には小さな頃からヘビやトカゲをさわらせていた。幼稚園の遠足でトカゲを見つけると、お父さんのおみやげにつかまえようとした娘が、年頃になるとすっかりヘビ嫌いになってしまった。途中で思い出してしまったのか、周りの人間に合わせてしまったのか。
ヘビというのは哺乳類を食うために進化した生き物といってもいい。下等な爬虫類だというのは大きな間違いで、ヘビ類の多様化は新生代になってから起きている。だいたいあの細長い体型がくせ者で、穴の中に巣を作るネズミなどをとらえるのに最適の形をしている。手足のある捕食者は穴に逃げ込んだネズミをとらえるにはたいてい大きすぎるのである。あごは大きく開いて体より数倍の大きさのものを飲み込み、胸骨がないので、肋骨を広げて、大きな獲物を飲み込むことができる。
ヘビ類では食性の分化が著しいグループである。ネズミ食い、卵食い、カタツムリ食い、カエル食い、トカゲ食い、ヘビ食いなど。ところが、なかには何でも屋がいて、いろいろなものを食べる。
沖縄・奄美諸島ではアカマタが何でも屋で、小型の哺乳類、鳥類、魚類、トカゲ類、ヘビ類などいろいろな脊椎動物を食べる。気の荒く、非常に攻撃的で、ハブも食べるというので有名である。孵化したばかりのウミガメを食うのは最近の発見で、砂浜に産卵されたウミガメのタマゴが2ヶ月ほどして孵化するのを見計らってやってきたアカマタが小亀を食うのである。においや音で場所がわかるらしく、砂に頭をつっこんで小亀をくわえてくる。やっぱり蛇はすごいね。
疋田 努(京都大学理学部動物学教室)
2005-01-07