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忍術を使う動物

水中から水上へ
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水宙遊泳〜淡水性巻貝のフローティング〜その3
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先日の探偵ナイトスクープという番組で,川の上にゴザを渡して,その上を走り抜けるという挑戦をしていた.依頼者がなぜそのような依頼をしたのかは忘れてしまったが,このあほな依頼にたくさんの人が協力して真剣に依頼者の望みをかなえようとしているのがおかしかった.しかし体重でゴザが沈む方が早く,走り抜けることはできなかった.(最後はござを支えてもらいながら四つんばいで歩いてなんとか一往復でき,めでたしめでたし)

このように水面を歩くことは人類のあこがれである(大げさ?).忍者は「水蜘蛛」なる道具を使って水の上を歩くことができたという話もある.直径60cmほどの木製の輪を両足にはめ、浮力を利用して水面を歩くというのだ.しかし,どうも調べてみると水蜘蛛は泥の上を歩くためのものであって,水の上は歩けないそうだ.

だが動物の中には水面を歩くことのできるものがいる.その代表格がアメンボだ.アメンボの足には細かい毛がたくさん生えており,この毛が水をはじくため表面張力で水面を歩くことができるのだ.

動物好きの読者さんは「そのぐらい常識だよ」と思われるかも知れない.では,水の表面張力が仇となって幼虫が水面に出るのに苦労しているのはご存知だっただろうか?詳しくは 「水中から水上へ」(データ番号: momo051005ae04b) をご覧いただきたい.水面をスイスイ気持ちよさそうに泳ぎ回れる彼らも,人知れず苦労しているのであるなぁ.

アメンボは水面上を歩くことができるが,逆に水面に逆さにぶらさがって水面下をはうことのできる生き物がいる.「水宙遊泳〜淡水性巻貝のフローティング〜その3」(データ番号: momo051013un03b) を見ると,水面を自在に這い回っている.私が実家でメダカを飼っていたときも,水槽にこのサカマキガイが入っていた.最初は近所の水路から採ってきたのだが,水槽内で大繁殖して往生したのを覚えている.そしてこの貝は確かに水面を歩き回って,メダカの餌の食べ残しを食べたりするのである.

サカマキガイが水面にぶら下がるのにも表面張力を利用しているようだ.でも,水面を這って進むことができるって不思議なことだ.アメンボが水面を歩くことができるのは,水という粘度の高い液体を足がかりにしていると考えれるのだが,サカマキガイの場合は逆さにぶら下がっているので,足の裏は空気.いくら何でも空気を這うことはできまい.

調べてみると,この謎をちゃんと調べた人がいるんである.しかも中学生.詳しくは「水面を逆さまにはうサカマキガイの秘密」を見ていただきたい.結論だけ紹介すると,サカマキガイが這った後には粘液の糸が伸びているのだ.その粘液の「じゅうたん」を足裏でけって前に進んでいるという.へぇ〜.身近なところにも思わぬ謎が隠れているものである.そしてこの中学生たちの今後が楽しみだ.
西 浩孝(京都大学大学院 理学研究科 動物学教室)
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