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貝採りの話

塩の投入に対するマテガイの飛び出し行動
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素早く潜るフジノハナガイ
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トップページ下部の「分類群検索」をポチっとクリックしていただくと,画面の右側に全登録件数が出てくる.それによると,ついに登録されている映像が500件を越え,現在517件とのこと.これもひとえにみなさまのおかげである.しかしまだまだ手薄な分類群はあるし,「教科書に載っている有名な行動だから映像があると授業で使えるのにー」という行動もある.ぜひ今後とも映像データベースの充実にご協力いただければと思う.

閑話休題.確かあれは小学校の国語の教科書だったと思うのだが,波遊びをする貝というのが紹介されていた.波遊びをする貝とはナミノコガイやフジノハナガイという,波打ち際に棲んでいる小さな二枚貝のことである.彼らは波が来ると砂から飛び出して波間を転がり,波が引くとすぐに砂に潜る行動をくり返している.この行動が「波遊び」と呼ばれている行動である.

それを習った後で海に遊びに行ったときに,砂浜で波打ち際をよく見ていると,波が引くときに貝が砂に潜ろうとしているのを見つけることができた.しかしこれを採るとなると,あっという間に潜ってしまうし,すぐに次の波が来るので大変だった.何とか集めて持ち帰って味噌汁の具にしてもらったが,なかなかいい出汁が出た.

教科書では波打ち際の砂を足で蹴ると,波が来たのと勘違いして貝が飛び出してくるということが紹介されていた.波が来たことを砂の中にいながら敏感に察知することによって,彼らの「波遊び」行動が可能になっているのだという.しかし,これにはコツがあるのか,試してみたのだが一匹も飛び出してこなかった…….

また,あるとき海へ遊びに行くと,潮が引いた砂浜でおばあちゃんが砂を掘っていた.そこは満潮になれば潮がくるところではあるが,波打ち際ではなかった.何が採れるのか見てみると,ナミノコガイやフジノハナガイ.これらの貝は皆「波遊び」をしているものとばかり思っていたが,実はそうではないらしい.ぼんやりしている内に潮が引いていって取り残されたのか,はたまた怠け者なのか.でも,常に「波遊び」をしていたのでは鳥などの天敵に狙われやすいだろうから,こうして砂に潜って潜んでいることが多いのかもしれない.

その海岸にはマテガイという二枚貝の殻が転がっていた.この貝も食用になるのだが,その採り方がユニークである.巣穴に塩を入れると飛び出してくるので,それを捕まえるのである.ぜひ捕まえてやろうと思ったのだが,はて,どこに巣穴があるのか見当がつかず,結局マテガイ採りは一度もやったことがなかった.

そこで「塩の投入に対するマテガイの飛び出し行動」(データ番号: momo050501ss01b)である.本当に塩をかけると,ぴょこんと飛び出すのだなあ.ちなみに,マテガイのこの行動は加藤真著「日本の渚」でも紹介されているが,なぜ塩で飛び出してくるかは未解決の問題だそうである.

映像を見るとますます自分でやってみたくなるが,マテガイがどこにいるかが,やっぱり謎のままである.

砂浜に棲む貝であるナミノコガイやフジノハナガイ,干潟に棲む貝マテガイが暮らせる自然海岸は,日本からどんどん失われている.「美しい国」をというからには,こういった生き物が安寧に暮らせる環境を残して,あるいは復活させて欲しいものだ.


追記:コラム公表後にフジノハナガイの映像が登録されたのでご覧いただきたい:「素早く潜るフジノハナガイ」(データ番号: momo061120ds01b)(2006-11-29)
西 浩孝(京都大学大学院 理学研究科 動物学教室)
2006-11-17

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