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土の中のクモ

ワスレナグモの餌捕獲
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今年の夏は、宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」が公開されたということで、コラムの題名もそれと似せたものにしてみたが、言わないと誰も気づかなさそうなので、最初に言っておくことにした。自分としては「モ」のあたりが「ニョ」と似ていると思う。

さて、今年の夏はクモと縁が深い夏だった。というのは、無農薬で稲を栽培をしている田んぼで、クモがどれくらいの頻度で害虫を捕えているのかを調べることになったからだ。実は僕はあまりクモが好きではない。いや、もしかしたら「クモの巣」が嫌いなのかもしれない。森を歩いていると不意に顔にかかってくるクモの糸に対して、声にもならない悲鳴を上げ、体から離れてくれるように身をよじらせる。まるで、ボクシングでパンチをよけるために上体を後ろに反らす動きのようで、端から見ると突然おかしなダンスを踊りだしたかのように見えるだろう。「袈裟が憎けりゃ坊主も憎い」で、クモまで嫌いになった可能性は高い。

しかし、もしかしたら食わず嫌いかもしれない。食わず嫌いといえば、僕は子供のころ、嫌いな食べ物はよく味わうことで克服してきた。よく覚えているのはセロリだ。あの青臭さは、絶対好きになれない気がしていたのだが、心を無にしてよくよく味わってみると、クサいと思っていた匂いに慣れてきて、その匂いが独特な風味として憎めないものになってくる。そして今では毎日セロリを食べるほど好きになった。・・・というようなことは無いのだが、全然イケる。だからクモも観察しているうちに好きになるかもしれない。

その田んぼにいるクモは、ナガコガネグモという体長2〜3cmほどの結構大きなクモで、直径30cmほどの巣をイネの葉の間に張っている。これをビデオで撮影して、餌が捕れた回数を数えるのだ。撮影されたほとんどの時間、クモは何もしていない。そんな何もしていないクモは、怖くも何ともないはずだ。しかし、何もしていないように見えて、実は虎視眈々と獲物がくるのを待ち続け、餌が網にかかろうものなら瞬時にかぶりつく。そういうところも僕がクモを苦手とする理由かもしれない。

一方、今回紹介する「ワスレナグモの餌捕獲」(データ番号: momo080519cs01b)は、土の中で餌を待ちかまえるクモの映像である。次々と獲物が巣穴に引き込まれていく。昆虫から、甲殻類、多足類、ミミズ、そして他の種類のクモまでも・・・。獲物を人間の姿に置き換えるとかなり怖い。ホラー映画かギャグマンガに出てきそうだ。しかし、ジグモの仲間は、こんな僕でも昔から親しんできた類いまれなクモで、家の基礎から土の中に伸びた、細長い袋状の巣を引っ張り出したりしていた(これは「親しんでいる」とは言えないかも)。だから僕は正確に言うと「クモ嫌い」でも「クモの巣嫌い」でもなく、「顔にかかるクモの巣嫌い」だと言うことができる。

残念ながら一夏過ぎても、クモを好きになることはできなかった。でも一つだけ起こった心の変化は、クモの巣を壊すのは彼らのためにも申し訳ないことだと考えるようになったことである。餌捕りの邪魔をしてすまなかった・・・(でも実はクモたちは、餌を待っている間は寝ているんじゃないかと、僕はひそかに思っている)。

(注)残念ながらコラムの内容は全くポニョに結びつけられませんでした。いや、人魚姫のモチーフは踏襲しているかも・・・!?









・・・・











・・・してません。
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2008-10-03

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