視る・想うRSS

[データベースホーム]

干潟にハマる

吻を出し入れするチロリ
↑click to play

ハクセンシオマネキのWaving行動
↑click to play

コメツキガニのウェイビング
↑click to play

最近私は干潟にハマっている。私の住んでいる愛知県豊橋市には、汐川干潟という渡り鳥の渡来地として有名な干潟があるのだ。他にも三河湾にはいくつもの干潟があり、休みのたびにと言っては言い過ぎだが、しょっちゅう干潟に出かけている。

最初は純粋に博物館の仕事として干潟の生き物の調査をしたり、写真を撮影したりしていた。はじめの頃は、干潟はただ広大な砂浜が広がっているだけで、歩き回っても同じ種類の貝しかいないので面白くなかった。でも、何回も通ううちにだんだん干潟の魅力がわかってきた。

干潟の表面には確かにウミニナやヘナタリなど、限られた種類の巻き貝ばかりが目に付く。でも、スコップで掘ってみると、いろいろな生き物が住んでいる。例えば「吻を出し入れするチロリ」(データ番号: momo070516gc01b)。この映像を見ていたので「あ、あのチロリだ」とわかったが、もしいきなりこの吻の出し入れを見たらびっくりしただろうなぁ。

干潟の生き物のうち、行動を観察していて一番面白いものの一つに、カニ類が挙げられる。シオマネキやコメツキガニなどのスナガニ科のカニは、それぞれの種に独特のウェイビングを行う(「ハクセンシオマネキのWaving行動」(データ番号: momo030830ul01b)「コメツキガニのウェイビング」(データ番号: momo090829sg02b))。カニたちは人が近づくとすぐに巣穴に身を隠してしまうが、しばらくじっとしていると巣穴から出てきて、ユーモラスなウェービングを見せてくれる。また、双眼鏡やフィールドスコープで遠くから観察するのもお勧めである(コメツキガニの映像は、フィールドスコープにカメラをつけて撮影したものである)。

もし近くに干潟があったら、ぜひ一度生き物観察に出かけてはいかがだろう。ただ、干潟は場所によって泥深くて、文字通りハマって抜けられなくなる事があるので、ご注意を。

さて、最後にお知らせがあります。10人のスタッフが持ち回りで執筆しているこのコラムですが、この一巡をもって終了となります。このコラムは、埋もれてしまいがちな過去の映像を掘り起こそうということで、2004年10月から始まりました。第1回のコラムを見ると「このデータベースの登録映像は150を越え」と書かれています。当時は「いかに登録数を増やすか」ということが最大の課題でした。その後、コンテスト開催の効果もあってか登録数は順調に増え続け、今や1000件の大台を突破しようとしていることは、感慨深いですね。登録していただいた皆さま、どうもありがとうございました。

コラムはなくなっても、面白い映像が次々に登録されています。どうぞ今後も動物行動の映像データベースをよろしくお願いします。
西 浩孝(豊橋市自然史博物館)
2009-09-18

バックナンバー

2009-05-01〜2009-08-07
2009-04-24
花粉症
原村隆司(京都大学大学院動物行動学研究室)
2009-04-17
動物の王国
井上 真(MOMO 運営ボランティア)
2009-04-10
ウニの味
森貴久(帝京科学大学)
2009-04-03
Home, Sweet Home
中田兼介(東京経済大)
2009-03-27
本能と学習
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2009-03-20
桜咲く彼岸
広瀬祐司(大阪府立茨木高等学校)
2009-03-13
動物の絵本(2)
佐藤路子(大阪市立自然史博物館外来研究員)
2009-03-06
ばーど・おぶ・ぷれい
中田兼介(東京経済大)
2009-02-27
雛祭り
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2009-02-20
バレンタインの贈り物
西 浩孝(豊橋市自然史博物館)
2009-02-13
ダーウィン生誕200年
原村隆司(京都大学大学院動物行動学研究室)
2009-02-06
節分
井上 真(MOMO 運営ボランティア)
2009-01-30
謹賀旧正月
森貴久(帝京科学大学)
2009-01-23
ありふれたスピードを越えて
中田兼介(東京経済大学)
2009-01-16
「本能行動」/「固定的動作パターン」
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2008-09-26〜2009-01-09