最近登録された映像で、非常に映像が美しいものがあった。
「モリアオガエルの産卵」(データ番号: momo090701ra01b)である。モリアオガエルが泡を後ろ脚でかき混ぜているのだが、混ぜている様子やその泡の質感がよくわかる。解説を読むと、小型ハイビジョンカメラで撮影されたものと書いてあった。なるほど、ハイビジョンならこの美しさも納得である。
だが待てよ?ハイビジョンカメラで撮影したからと言って、それがハイビジョン映像であるとは限らない。ハイビジョン映像とは(正確な定義はともかく)画素数でいうと1920×1080ピクセルという巨大サイズである。私が今使っているMacBookだと画面が1280×800しかないので、画面に収まりきらないくらいだ。この動画は、MOMOに登録されている他の動画と比べて大きい部類とはいえ、640×360なので縦横ともハイビジョンの1/3ずつしかなく、実はハイビジョン映像ではない。
では、なぜこの動画は美しいかというと、一つにはエンコード方法があるんじゃないかと思う。一般論としてエンコード時に圧縮をかければかけるほどファイルサイズは小さくなるが画質は悪くなり、逆に圧縮率が小さければファイルサイズは巨大に、画質は良くなる。この動画は画質は良いが、ファイルサイズが大きくてダウンロードに時間がかかるという弱点もある。どのくらい圧縮するかは、こういうトレードオフがあり難しいところなのだ。
でも元が悪くてはエンコードで低圧縮にしても元映像以上にきれいになるわけじゃないので、やっぱり機材のよさもあるのだろう。こんなきれいな画像を見せつけられると、このハイビジョンカメラが欲しくなってしまい、困ったものである。
そういえば、先日、カタツムリのとある行動の映像について、テレビ番組の制作会社から提供依頼が来た。正確には、使えるかどうか検討したいので送ってほしいという話であった。そこで、改めて自分の撮影した動画を見てみたのであるが、手持ちで撮影したのでぶれているし、あまり鮮明じゃないし、正直テレビで使うのは厳しいんじゃないかという気がした。採集の片手間での撮影なので、仕方がない。まあでもこの行動の動画を撮っている人はほとんどいないわけで、ひょっとすると番組で使ってもらえるかもしれない。(前にもコラムに書いたが)機材や撮影技術ではかなわなくても、こういうニッチな映像こそがアマチュアの出番である。
さて、このモリアオは何とも素晴らしい映像なのだが、
「モリアオガエルの産卵」(データ番号: momo080602ra01b)の撮影者からすると、「完敗」と言わざるを得ず、何だかちょっと複雑な気持ちなのである。
西 浩孝(豊橋市自然史博物館)
2009-07-10