「ドバトの求愛行動」(データ番号: momo060608un01b)は、サンドイッチを食べようと座った公園のベンチの前から、人影まばらな神社の境内まで、いたるところで見られるありきたりな光景である。そんなドバトについて、学生時代、酵母の研究をしている友人に「あれはハトのメスがオスの気をわざわざ引いているんだ」と言われたことがあった。
彼が言うには、ハトのメスは、オスに求愛されると、一見離れていくように見えるが、実は離れすぎないようにして、オスの求愛がどれほど熱心か試しているとのことだ。当時の僕は、メスは一方的にオスから求愛されるもの、と思いこんでいたので、笑い話にしか聞こえなかった。
しかし実際にドバトを見てみると、たしかにメスの離れ方は微妙で、ちょっと離れてはオスが追っかけてくるのを待っているようだ。さらには、まるでメスはオスが追いかけてくるのを横目で確認しているようにすら見えてくる。そんなメスは、さらに別のオスにまで求愛に加わられ、2匹も3匹もオスを引き連れたメスも出てきたりする。
求愛行動の研究が盛んなグッピーを観察していても、メスはいつもオスに求愛をされて、むしろ迷惑そうに見える(残念ながら映像は無い)。しかしその二匹を透明の板で分断してしまうと、メスもオスもお互いに近づこうとして板に頭を押しつけるのだ。そこで板を取り除いてやると、なかよく寄り添うようになってメデタシ・・・となるのではなく、やはりメスはオスに追われる一方になるのである。
たしかにメスにとっても、より良いオスとつがうために、時間をかけてオスを観察したり、多くのオスを競わせたりすることは、悪いことではないはずである。それでもオスにつれなくするのはメスの矜持であり、オスはそのことを分かっていても、あえて熱心に求愛をしなければならない、なんてワケでも無いか・・・。
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2006-07-21