視る・想うRSS

[データベースホーム]

成長の瞬間

チャバネアオカメムシの胚脱皮
↑click to play

成長の瞬間を目の当たりにするのはなかなか難しい。登録数が500件を超えたこのデータベースでも、「成長」で検索すると3件しか見つからない(2006年9月現在)。しかし脱皮をする生物ではその瞬間を目撃することができる。3件ある「成長」の映像のうち2件が脱皮の映像だ。

「チャバネアオカメムシの胚脱皮」(データ番号: momo050101pc02b)では孵化の際に行われる脱皮を見ることができる。カメムシ類は「不完全変態」をする昆虫なので、その幼虫は青虫のようなものではなく、親とほとんど同じ形をしている。10倍速の映像だが、体を上下左右にくねらせながら、ゆっくり着実に、焦ることなく薄い殻を脱いでいく。6本の脚が抜き出される所なんかは、繊細で美しく神秘的だ(ちょっと気持ち悪いと思う人もいるだろうが)。ちなみに不完全変態の対義語は「完全変態」だが、これは「孵化直後から死亡の直前まで、ずっと変態であること」ではないので安心してほしい。完全変態とは、青虫から蛹(さなぎ)を経て蝶になるような変態様式のことである。

お約束のネタに苦笑いでもしてもらえたら幸いだが、ここでむりやりカニ類の脱皮に話を持っていこう。カニも昆虫と同じく脱皮をしなければ大きくなれない。若い頃は成長が早いため、脱皮の間隔は短い。脱皮はただ体が大きくなるためにするのではなく、ハサミ脚や他の脚を失ったときにも誘発される。脚を失ったあとに脱皮をすると、失った部分から小さな脚の「芽」が生えてくる。この芽は脚を二つ折りにした状態で生えてきて、何回か脱皮を繰り返して十分な大きさになったときに、ようやく脚を伸ばせるようになる。再生する様子を初めて見たときは「ナメック星人だ・・・」と思ったけど(大学院生のころ)、彼らのように伸ばした状態で生えてくるのではないのだ。

成長や再生という重要な変化を引き起こす脱皮という現象。僕らには、脱皮をする感じが、「なんとなくスッキリする感じ?」くらいにしか分からない。しかし脱皮は内部の変化と連動して起こるものだ。体の内側で起こる日々の見えない変化が蓄積されて、脱皮という外見上のドラマチックな変化に繋がるのだということを、このコラムを読んでいる受験生のみなさんには知ってもらいたい。
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2006-09-22

バックナンバー

2008-09-26〜2009-01-09
2008-09-19
お月さん
原村隆司(京都大学動物行動学研究室)
2008-09-12
右向け右!
佐藤路子(大阪市立自然史博外来研究員)
2008-09-05
にほどりの
森貴久(帝京科学大学)
2008-08-29
Curiosity killed the ...
中田兼介(東京経済大)
2008-08-24
「社会」もしくは,おばちゃんと子どもと若者
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2008-08-15
お生来さん
広瀬祐司(大阪府立茨木高等学校)
2008-08-08
バチバチ デ ブツブツ デ ムズムズ
石田 惣(大阪市立自然史博物館)
2008-08-03
「それは食べられるんですか?」
佐藤路子(大阪市立自然史博外来研究員)
2008-07-25
風呂おもちゃ
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2008-07-18
猫に小判、松之山でのデジビデ?
西 浩孝(豊橋市自然史博物館)
2008-07-12
飼いウサギのオスは交尾の後,なぜ後ろ足を踏みつけて音を出すのか
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2008-07-04
ビオトープ?
原村隆司(京都大学動物行動学研究室)
2008-06-27
超正常刺激
井上 真(MOMO 運営ボランティア)
2008-06-20
もうひとつの系統 Letka Jenka
森貴久(帝京科学大学)
2008-06-13
ナツハ サーフィン ジャナクテ ダーウィン
石田 惣(大阪市立自然史博物館)
2008-02-29〜2008-06-06