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オソロシヤ・・・

フクロムシ幼生の孵化
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ヨツハモガニ幼生の孵化
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あれは何年前のことだったろうか、フクロムシという動物がいることを知ったときは鳥肌が立つのを隠せなかった。というか、図鑑で「フクロムシ」の写真を見ても、カニの写真にしか見えなかった。よく見ると、お腹の部分に、薄オレンジ色をした袋状のものが付いている。それはスポンジのように軟らかそうで、どうもカニの体の一部と考えるには異質だ。その袋がカニに寄生したフクロムシだという。しかもフクロムシはフジツボに近縁だという。なぜなら、子供(幼生)の時の姿がフクロムシもフジツボも同じだからだ。(ちなみにフジツボもフクロムシも甲殻類の仲間で、立派な動物です。)

そのフクロムシの様子を「フクロムシ幼生の孵化」(データ番号: momo070717pp01b)で見ることが出来る。落ち着かない感じのカニが、ツマ先立ちをして、ときおりお腹をパタパタさせている。1分55秒あたりでは、うっすらとだがはっきりと、茶色い煙が放出されているのが見える。これがフクロムシの幼生が放出された瞬間のようだ。しかし解説文にある「乗っ取り」とはどういうことだろうか?上記のような行動は、カニが自分の幼生を放出させるときの行動である(参考「ヨツハモガニ幼生の孵化」(データ番号: momo020423pq01b))。しかしこの映像でカニが放出しているのはフクロムシの子供なのだ。縁もゆかりもない(寄生されている点を除いての話だが)フクロムシの子供を、まるで自分の子供のように放つのは(参考コラム「効果ありそでなさそな、、、」)、寄生者に行動を操作されていると考えるべきである。

こんなスポンジのようにフワフワして緊張感の無いフクロムシだが、その本体はカニの体内に侵入した「根」にこそある。その「根」を使ってカニから栄養分を吸い取る。だから体の外にある「袋」を取り除いても、ソレは再び生えてくるという。そしてカニはやせ細っていくだろう・・・。オソロシヤ・・・。(実際には、外骨格のカニがやせ細ることはない。しかし脱皮の回数が減り、つまり成長が遅くなる。)

イソガニフクロムシによるイソガニの行動操作を克明に報告したのは、Takahashiら(1997)の論文である。放卵行動のほかにも「ハサミでフクロムシの表面を掃除する」などの行動が観察されたという。驚きなのは、放卵が終わると、カニはフクロムシの外部を食べたというのだ。さすが生き馬の目を抜く生物界!カニも負けちゃいない!食べて自分の栄養にするのだ!と思ったけど、よく考えたらこの行動は、カニの反撃では無いかも知れない。つまりカニが自分のために栄養を摂っているのではなくて、フクロムシの次回の繁殖のために栄養を摂っているのかもしれないのだ。つまりフクロムシがカニを操作して、自分の体の一部をカニを食べさせているわけか?オソロシヤ・・・。(Takahashiら(1997)は「体外部を食べることがフクロムシによる操作かどうかは不明」としている。)

磯でカニを捕まえると、フクロムシは結構簡単に見つけることができる。生き物を対象に夏休みの自由研究をしたいと思っている人は、今すぐ磯にイソガニば!(急がねば・・・)

Takahashi T, Iwashige A, Matsuura S (1997) Behavioral manipulation of the shore crab, Hemigrapsus sanguineus by the rhizocephalan barnacle, Sacculina polygenea. Crustacean Research 26: 153-161
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