視る・想うRSS

[データベースホーム]

思わず応援したくなる

魚をなかなか飲み込めないダイサギ
↑click to play

つい最近登録された動画で、「魚をなかなか飲み込めないダイサギ」(データ番号: momo071211un02b)というものがある。ダイサギが大きな魚をつかまえたものの、なかなか飲み込めない。「よし、もうちょっとだ。がんばれ!」と思わず応援してしまう。飲み込んでも喉にひっかからないかと心配になったりもする。

この動画を見て思い出したのが、勤務先の「森の学校」キョロロで飼育展示していたイワナのこと。90センチ水槽でイワナを2匹飼っていたのだが、どうも片方の1匹ばかりエサを食べて大きくなり、もう1匹は逆にやせ細ってしまった。観察していると小さい方が追いかけ回されたりしていじめられている様子。「やはりこのサイズの水槽でイワナ2匹を飼うのは無理か……、小さい方は弱って死ぬかもしれないな」と思っていた。

そんなある日、びっくりすることが起こった。なんと大きなイワナが小さなイワナを飲み込もうとしているではないか。2匹のイワナのサイズは一回り違うかなという程度。口には何とか入っても飲み込もうにも飲み込めず、体半分くらいが口から飛び出ている。息ができなくて窒息死しないかと心配になってくる。でもその状態でだんだん飲み込まれていき、数時間かかってようやく完全に飲み込まれた。

では、なぜそんな不相応に思えるような大きなエサを食べようとするのだろうか。

エサは大きければ大きいほど栄養があってよさそうに思える。一方、小さいエサだとたくさん食べないと必要なエネルギーを得ることができない。そんな単純な話だろうか?

考えてみると、小さいエサでもたくさん食べることによって、一つあたりのサイズの小ささを補うことが可能である。逆に、ここで紹介したダイサギやイワナのように、大きいエサでも飲み込むのに時間がかかったらどうだろうか。同じ時間で半分の大きさのエサを3匹食べた方がよいではないか。すなわち、処理時間(ハンドリングタイム)を考えると、エサのサイズは小さすぎても大きすぎてもだめで、最適なエサのサイズがあるということだ。もしエサのサイズが自由に選べるなら、動物は最適なサイズのエサを選ぶだろう。

ではなぜ、と再び考える。要するに、「もしエサのサイズが自由に選べるなら」という条件が満たされていなかったからかもしれない。喉がつまりそうになりながらも同居人のイワナを食べたイワナは、よっぽどおなかがすいていたのだろう。両方にかわいそうなことをしてしまった。
西 浩孝(十日町市立「森の学校」キョロロ)
2007-12-14

バックナンバー

2008-09-26〜2009-01-09
2008-09-19
お月さん
原村隆司(京都大学動物行動学研究室)
2008-09-12
右向け右!
佐藤路子(大阪市立自然史博外来研究員)
2008-09-05
にほどりの
森貴久(帝京科学大学)
2008-08-29
Curiosity killed the ...
中田兼介(東京経済大)
2008-08-24
「社会」もしくは,おばちゃんと子どもと若者
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2008-08-15
お生来さん
広瀬祐司(大阪府立茨木高等学校)
2008-08-08
バチバチ デ ブツブツ デ ムズムズ
石田 惣(大阪市立自然史博物館)
2008-08-03
「それは食べられるんですか?」
佐藤路子(大阪市立自然史博外来研究員)
2008-07-25
風呂おもちゃ
繁宮悠介(長崎総合科学大学)
2008-07-18
猫に小判、松之山でのデジビデ?
西 浩孝(豊橋市自然史博物館)
2008-07-12
飼いウサギのオスは交尾の後,なぜ後ろ足を踏みつけて音を出すのか
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2008-07-04
ビオトープ?
原村隆司(京都大学動物行動学研究室)
2008-06-27
超正常刺激
井上 真(MOMO 運営ボランティア)
2008-06-20
もうひとつの系統 Letka Jenka
森貴久(帝京科学大学)
2008-06-13
ナツハ サーフィン ジャナクテ ダーウィン
石田 惣(大阪市立自然史博物館)
2008-02-29〜2008-06-06