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ペンギン会議inタスマニア

アオアシカツオドリの飛び込み採餌
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ガラパゴスアホウドリの求愛ディスプレイ
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先日オーストラリアはタスマニアのホバートを訪れた。国際ペンギン会議というのに参加したのだ。この会議は4年に1回くらいの頻度で開かれており,世界のペンギン学者が一堂に会する場である。一堂に会したところでペンギン学者なんてたいした人数ではないとおもうかもしれないが,あにはからんやおとうとしらんや,200人近い参加者がタスマニア大学に集まっていた。

内容はペンギンに関する生物学的側面があれば何でもありのようだが,対象となっていたのは,オーストラリアという場所を反映してか,リトルペンギンやキガシラペンギンなどが多く,また,保全関連の発表が多い印象を受けた。保全関連としては,アルゼンチンのマゼランペンギンや南アフリカ,ナミビアのアフリカンペンギンを精力的に保全生態学の観点から研究している英米のグループがいて,それを知らなかった私にはとても勉強になった。ナミビアで営巣するペンギンは近年の気候変動による海流の変化で,利用できる魚種とその分布が大幅に変化し,そのために採餌努力量が大幅に大きくなっただけでなく,気温の上昇で繁殖生理に関わるサイクルがずれ,個体数が減少しているという。気候変動によっていいことがひとつもなく,すべて裏目にでるという感じだった。気候変動で得をする生物がいてもいいような気がするのだが,そういうのはセアカゴケグモなんかなのかしらん。

保全関連で言えば,エコツーリズムによるペンギンへのストレスについての研究があった。これは,ヒトが近づいたときに固まってしまう性格の個体と攻撃的になる性格の個体を比較したもので,ヒトの存在に対して攻撃的な個体のほうがテストステロンレベルが高いことが示されていた。これだけならまあ不思議ではないのだが,面白いのは,このテストステロンが高いグループはそうでないグループと比べると,巣立ち雛数で測った繁殖成功が小さいのだそうな。つまり,ヒトの存在に対して攻撃的なやつは淘汰されていくということで,エコツーリズムが新たな淘汰圧をつくっていることが示唆されたという話である。まあ一種の家畜化といえるかもしれないが,もしかしてイヌなんかが家畜化されていく過程でも,人為淘汰だけでなく,そういう攻撃性に関連した自然淘汰があったのかもしれない。知らないけど。

イヌといえば,ペンギンの営巣地がキツネや野犬に襲われるのをイヌを使って防ごうというペンギンドッグの試みの報告があった。最近日本ではサルやクマの獣害にイヌを使うというのがよくみられるが,ペンギンでもそういうことを考えるのがいるのだな。で,このペンギンドッグは結構効果が上がっているからえらいものだ。まあ,比較的せまい営巣地だから守れるのだろうし,あるいはヒツジをイヌで守る発想からすればむしろ自然なのかもしれないが。しかし,野犬だとペンギンをくうのに守る側だとちゃんと守るのだからイヌというのも不思議な生き物だ。

この会議があったタスマニアのホバートは,オーストラリアでは2番目に古い(入植された)街らしい(最初はシドニー)。入り組んだ湾に面した港町だが,すぐ近くに1000mを超えるウェリントン山が聳えている。海からすぐに1000mの山というと,南アフリカはケープタウンにあるテーブルマウンテンがじつに印象的な山なのだが,このウェリントン山は,そこまでではなくてもなかなかに趣のある山だった。オーストラリアは山火事が多く,このウェリントン山でも頻繁に山火事が起こるらしいのだが,1967年に起きた山火事がかなり大規模なものだったようで,40年経過したいまでも,焦げた幹をさらした林が残っている。そのなかを歩いていると,ワライカワセミが「うへへへへへへへへ」というような鳴き声で鳴いているのが聞こえる。笑ってしまう。

このウェリントン山というところは,じつはかのダーウィンがビーグル号航海のときに2度ほど登っている山らしい。山頂にはそう記してあった。私はツアーバスで30分くらいで登ったが,ダーウィンは地元のひとに聞きながら半日かけて藪こぎしながら登ったらしい。で,登ったあとで,もっと楽に登れるルートがあることを知って,地元のひとのいいかげんさをぶつぶついっていたらしい。動物学者の端くれとしては,ダーウィンがいた場所にいることができたのはかなり嬉しい。ビーグル号航海記は未読だが,読まねばなるまい。

さて,ダーウィンといえばガラパゴスである。ガラパゴスで撮影した映像もあるMOMOは結構すごいと思うのだがどうだろうか。というわけで映像は「アオアシカツオドリの飛び込み採餌」(データ番号: momo061207sn01b)と「ガラパゴスアホウドリの求愛ディスプレイ」(データ番号: momo061130pi01b)。
森貴久(帝京科学大学)
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