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早朝の攻防戦

母ヤギの背中で遊ぶ仔ヤギ
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私の一日はみぞおちへの強力な頭突きから始まる。
もうすぐ1歳になる息子の仕業だ。自分の世話をしてくれる人にまとわりつく、いわゆる「後追い」のまっただ中である。

空が白む頃、息子は目が覚めるとまず部屋のすみずみを探検して、それに飽きたら母親の私をかまって欲しさに起こすのが日課になっているようだ。ここ2ヶ月ほぼ毎日のことだけれども、私の方は寝ているあいだ自分の身にこれから降りかかることを知る術もないので、そのたびに何が起こったのか訳が分からない状態になる。頭突きをされたあとハッと顔を上げてキョロキョロすると、ニンマリした息子と目が合う。ここで私がすっきり起きて一緒に遊んでやれば何も問題はないのだけれど、やっと状況が飲み込めて、二度寝をしようと枕に顔を押し付けようものなら、息子は奇声を発しながら今度は私の体に覆いかぶさり、手当たりしだいに私の体を噛み始める。赤ちゃんとはいえ上下の揃った歯で手加減せずにやられると、「コリッ」と音がしたかのように思える時すらある。その痛さといったら、ドアの蝶番で指を挟んだようなあるいはチャックを贅肉と共に閉めてしまったような強烈なものである。こないだ着替えの時に、何の気もなしに見た自分の肩に赤やら青やら黄色っぽいものやら内出血の痕がお花畑のようにちらばっていた。これじゃ、逆虐待ではないか。

何か安眠できるいい方法はないだろうか?私が起きるまで、こうした行動は止まない。
目が合ったら、息子はとたんに機嫌がよくなるようなので、命を常に狙われた歴史上の人物の様に目を開けたまま寝る技を身につけるのが有効かな。いや待てよ、敵はずいぶん賢くなったので、ちゃんとした反応をしてやらないとバレるのでは、と思い直したり。いろいろ考えているうちに面倒くさくなって、とりあえず頭から足の先まですっぽりと布団をかぶって防御体制に入り、息子が自然と疲れてくるのを待つのがいつものパターンである。

こんな時「母ヤギの背中で遊ぶ仔ヤギ」(データ番号: momo031024ca01b)を見ると、防御体制に入る自分の器はなんだか小さく思えてしまう。
この母ヤギの余裕たっぷりの落ち着き具合がなんとも言えない。どんなに子ヤギが暴れまくっても同じ場所にどっしりと休んでいるし、子ヤギが背中で寝てものんびり反芻なんぞしている。外でスズメがチュンチュン鳴いているのも、のどかでおおらかな雰囲気を引き立てる。
できることなら私もこの母ヤギのようになりたいものだけど、現実には「お母さん、ボクにかまってよ!」とぐずる息子を前にすると、お皿を落っことしたり、物につまづいたり、口紅がはみだしたりしてしまう。似てることといったら、子供の寝てる間にゆっくりごはん食べてるっていうところぐらいか、、、反省。
佐藤路子(大阪市自然史博外来研究員)
2006-09-29

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