このデータベースには編集してない映像がたくさんあって、前のコラムではそれらの魅力を述べたのだけれど、もちろん編集した映像もたくさん所蔵されている。
撮影した映像をアップして人に見せようとなると、どうしても編集が必要という場合もある。その代表的なものは、時間が長い行動である。例えば、
「キジバトの子育て」(データ番号: momo051010so01b)。22日間にわたるハトの子育て行動の記録で、これなど無編集で見せるなどありえない。
これほど極端というか、言うまでもない例は置いておいたとしても、例えば
「キタゾウアザラシの雄間闘争」(データ番号: momo030627ma01b)。これは編集されているが、編集前の長さは解説にもあるように約3分であって、それは無編集で見せようと思えば見せられる長さである。実際、これは私も関係している映像なのだけれど、無編集で見せたいとも思ったのである。カリフォルニアの海岸で行われる闘争は、動物の巨大さとケンカの激しさにも関わらず、大きな自然の中での小さな出来事として、どこか儚さと美しさがあって、それは無編集の方がよくわかると思ったからなのである。とはいえ、この映像で一番見せたかったのは、間接的闘争から直接的闘争へのエスカレーションという「ケンカの流儀」であり、それを説明するためには少し編集した方がふさわしいだろう、と思って結局少しカットした。
説明というのは、編集の大きな目的である。例えば
「電動歯ブラシの実験」(データ番号: momo051005ae03b)。最初に実験用具が出てきたりして、なんとなく科学番組っぽい。テロップも使われている。テロップは,先にあげたハトの映像にも使われていて効果を上げている。同じ映像のスロー再生を繰り返す、というのもしばしば行われる。これも説明を目的にしたものだ。速すぎるとなんだかわかりませんからね。例えば
「カマバエの一種の喧嘩」(データ番号: momo050103os01b)。この映像がいい感じなのは,なんというのか、スローにしたとたんに、いきなりハエがヒトのように見えてくるところだと思う。昆虫と我々では、たぶん時間の流れ方が相当に違うのであろう。彼らは非常に速い時間の中に生きていて、そのままでは我々凡人には理解できないけれども,スローにすると、こちらの時間まで降りてくるので,やっと擬人化が可能になるのだろう。
さて、長さを短くするために編集を施した映像で、見事だなと思うのは
「コトドリの求愛ダンス」(データ番号: momo051005mn01b)である。よく見ていただきたいが、編集していることに一瞬気がつかないほどだ。この秘密は、コトドリの位置にある。実は、カットしてつながれている前後のシーンで、コトドリの位置がほとんど同じなのである。逆に言えば、同じ位置にいるところを選んでカットしてつないでいるのである。うまいなあ。
藪田慎司(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)
2007-03-02