危険な「ケンカ」:ミスジチョウチョウウオで観察された非常に珍しい致死的闘争

(17.5MB, 00:01:12)
撮影日:1997/04/17
撮影場所:沖縄県、八重山郡、黒島
* 種類
Chaetodon lunulatus

キーワード
サンゴ礁魚類
一夫一妻




藪田慎司
(Shinji Yabuta)
2001/07/11登録


動物界 >脊索動物門 >硬骨魚綱 >スズキ目 >チョウチョウウオ科 >チョウチョウウオ属 >

<致死的闘争>
「動物は殺し合わない」と言われる。しかし、必ずしもそういうわけではない。確かに、多くの闘争はあまり危険でないやり方で行われる。それらは慣習的闘争と呼ばれる。しかし、稀ではあるが、「平和な」闘争がエスカレートして深刻なものになってしまうことがある。その場合には、闘争の当事者が死んでしまうこともある。だから、このような危険な闘争は致死的闘争と呼ばれる。多くの動物で、危険な闘争は、もっぱら配偶機会を巡って生じる。

ミスジチョウチョウウオの闘争も普段は「平和に」行われ、それによって傷つくことはない(momo010711cl01bを参照)。しかし、ごく稀に致死的闘争が起こる。およそ8年にわたる野外観察を通じて、そのような致死的闘争が1度だけ観察された。映像は、その様子の記録である。

<映像の説明>
彼らは、最初、慣習的闘争のやり方で闘争を行っていたが、どちらも引き下がらず、やがて、激しい追いかけ合いが始まった。映像はこの段階から始まっている。彼らは激しく追いかけ合い、サンゴが繁茂する岩礁の上を超える。追いついてみると、2匹が上下に重なるようにして、くるくる回転している。この行動は、それまでの長期にわたる野外観察で1度も観察されたことのない行動であった。映像には記録されなかったが、彼らが離れる瞬間には、「バシッ」という音が聞こえた。映像の後半はスローになっているが、それを見ると、離れ際に打突の起こっているのがわかる。このような行動が何度も繰り返され、彼らはみるみる傷ついていった。

<闘争前の状況>
この致死的闘争は、2匹のオスの間で行われた。彼らの縄張りは隣接しており、その二つのなわばりを1匹のメスが行き来していた。彼女は、他のメスをその二つのなわばりに近づけなかった。この結果、2匹のオスに1匹のメスという三角関係ができていた。その関係は、少なくとも半年続き、ついに致死的闘争が起こった。

<闘争の結果>
2匹のオスは激しく傷つき、中層でフラフラと泳ぎ、姿勢を保つのにやっとという様子であった。翌日に1匹が、さらに翌日にはもう1匹もいなくなってしまった。彼らのうちの1匹の縄張りに、それに隣接する別の(3匹目の)オスが入り込み、先のメスとペアを組んだ。

参考文献:Yabuta S (2000) Behaviors in agonistic interaction of the butterflyfish (Chaetodon lunulatus). J Ethol 18: 11-15

(データ番号:momo010711cl02a)

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