ペアパートナー間で行われるミスジチョウチョウウオの側面誇示
(1.8MB, 00:00:19)撮影場所:沖縄県、八重山郡、黒島
藪田慎司
(Shinji Yabuta)
2004/12/13登録
種類:ミスジチョウチョウウオ,
Chaetodon lunulatus
キーワード:一夫一妻 サンゴ礁魚類 パートナー認知 攻撃抑制
動物界 >脊索動物門 >硬骨魚綱 >スズキ目 >チョウチョウウオ科 >チョウチョウウオ属 >
ミスジチョウチョウウオはサンゴ礁に住み、体調は12cm前後。主にサンゴのポリプを食べている。一夫一妻の配偶システムを持ち、雌雄のペアを組み、なわばりを防衛する。テイルアップディスプレイはこのなわばり闘争の時に用いられるディスプレイであり、魚類で多く見られる側面誇示(ラテラルディスプレイ)の一種であると考えられる。
面白いのは、このディスプレイが、なわばり闘争の時だけでなく仲の良いはずのペアパートナー同士の間でも行われることである。映像には、そのようなパートナー間でディスプレイが映っている。
最初に映るのはメスである。パートナーであるオスから離れて単独で行動した後、パートナーのもとに戻っていくところである。やがて、そのオスが画面に現れる。この時、オスが行っているのがテイルアップディスプレイである。頭を下げ、尾ひれを上げて、逆立ちしているのがわかるだろう。体の側面をメスに向け、さらに、体軸を曲げて、頭をメスから遠ざけ、逆に尾ひれの先をメスに向けている。アルファベットのSのように見える。これに対して、メスはオスの手前で「立ち止まり」、所在無さげな態度をとっている(ように見える)。すぐに、オスはディスプレイを止め、2匹で連れ立って泳いでいく。
なぜ、パートナー間でテイルアップディスプレイが行われるのだろう。Yabuta (2002)は、それがパートナー認知の不確実によるものであることを示している。簡単に言えば、「侵入者と間違った」のでディスプレイをしたのである。しかし、これは単なる「間違った」行動ではない。というのは、この行動のおかげで、パートナー認知の不確実のせいでパートナーに対する攻撃が予防されていると考えられるからである(その予防割合はほぼ70%と計算されている)。いわば、これは役に立つ「間違い」なのである。
Yabuta S (2002) Uncertainty in partner recognition and the tail-up display in a monogamous butterflyfish. Animal Behaviour 63: 165-173